足の“攣(つ)り”が全身に広がり、その後病気が判明 「自宅は買って半年、車は4ヶ月。この先どうすれば…」発病時の思いと心境の変化について患者に聞いた
見た目ではわからない病気を抱えている人は少なくありません。まだ治療法の確立がされていない難病もあり、日々模索しながら過ごされている方もいます。 【写真4枚】交流会の様子 (清水さんより提供) 今回取材した清水さんは、スティッフパーソン症候群を抱えています。スティッフパーソン症候群は、体幹を主に間歇的に筋硬直や筋痙攣が発生し、全身へと症状が進行する疾患です。 清水さんに、自身の病気や活動などについて話を聞きました。
現在の活動について
スティッフパーソン症候群(以下、SPS)は、日本において100万人に2人程度の難病です。 清水さんは現在、同じ病気の患者さんや地元の難病患者の交流会に参加しています。SPS患者会である「スティッフパーソンみんなの会」は、SPSの認知度向上と、指定難病化を目的に活動をしています。患者交流会では各自の現状報告や治療の内容、自身の経験などの情報を交換したり、学会ブースなどで医師への啓蒙活動をしたり、SPS研究班の先生方とも連携し情報を交換し合うなどしています。
スティッフパーソン症候群について
SPSが起こす症状は個人差がありますが、多くは筋肉の硬直、こむら返りの症候群症状が全身に起こります。軽い攣(つ)りは身体を動かしたら常に大なり小なりはあるといいます。また音光によって攣りなどを誘発されます。 ー日常生活において、困難なことなどを教えてください。 人混みは基本苦手です。また日常生活ではテレビの突然の音光、インターホーンなどからも誘発されます。呼吸器にも影響が出て、呼吸器が必要な方もいます。基本的に、歩行は攣りながらになるため、常に激痛との闘いです。そのため、週に2度程ブロック注射とトリガーポイントの注射40箇所から50箇所程を打って痛みを和らげています。これらのおかげで、少しでも快適に過ごせる時間をつくれます。 ースティッフパーソン症候群と診断される前、どういった症状がありましたか?病院を受診するまでの経緯について教えてください。 元より筋肉痛や足が攣ることはよくあり、偏頭痛もちでもありました。平成22年の1月半ばに、椅子から立った際に攣りが足から全身に広がり、そのまま倒れてしまいました。その後、妻が仕事から帰宅し、救急車にて自宅近くの大学病院に搬送。そのときは脳梗塞、くも膜下出血などの疑いでした。 しかし、検査をしてもどれも該当せず、その日たまたま夜勤勤務されていた神経内科の医師にSPSの症状に似ていると言われ、そのまま検査をして3ヶ月後には確定診断がつきました。他の患者さんは3年や5年、10年と確定されないことも多いため、適切な治療が受けられていないのが現状です。 ースティッフパーソン症候群と診断されたとき、どういったお気持ちでしたか?差し支えなければ教えてください。 確定診断がついたときは、正直すべて嫌になってました。発病当時は飲食店で勤務しており、まだまだこれから上を目指して頑張りたいときでもあったのです。自宅は買って半年、車は買って4ヶ月、この先どうしたらいいのだろかと思いました。実際それまでは難病などには無縁だと思っていたので、当時は100万人に2人と言われても正直よくわかりませんでした。 入院中に色々調べて希少なんだと知り、その後は病院とも話し合い、自分のデータは提供することを了承しました。 それまで仲良くしていた方も自然と去って行き、当時は人まですべて失ったと思いました。病気になった現実を見た感じがして、すべてがマイナスに感じていました。