「働き過ぎ」で崩した心と体のバランス。滝藤賢一が40代で見つけた“無心”になれる時間
話題作に数多く出演し、主演としても、名バイプレーヤーとしても唯一無二の存在感を放ち続ける俳優の滝藤賢一さん。ドラマ『半沢直樹』をきっかけに多くの作品に出演するようになりましたが、一方で「休みなく働き続けたことで心と体のバランスを崩してしまった」と当時を振り返ります。そんな時、滝藤さんが見つけたのは「仕事のことを忘れ無心になれる趣味の時間」だったそうです。俳優でありながら、近年は芸能界随一の「服好き」「植物マニア」としても知られ、私生活では4人の子どもを育てる父親でもある滝藤さん。「仕事」と「家族」、「趣味」のバランスについて、どのように考えているかを聞きました。(Yahoo!ニュースVoice)
「誰よりも働く」を続けた結果、心と体のバランスを崩した
――滝藤さんといえば、「服」や「植物」など趣味の時間を楽しんでいるのが印象的です。趣味の時間は昔から大事にしていたんですか? 滝藤賢一: 40歳からです。それまでは、仕事ばかりでした。僕にとって20代は本当に苦しい時代。愚直に芝居の稽古だけにすべてを捧げていたのに芽が出なくて。だからこそ、やっと仕事をいただけるようになった30代は、どのチャンネルに変えても滝藤賢一が出ているというくらい仕事がしたかったんです。でも、見た目も声もそんなに良いわけじゃない、変幻自在の芝居ができるわけでもない。何が僕の強みかと考えた時の答えが「誰よりもたくさん出演すること」でした。その時の僕は、「誰もこんなに働けないだろう」という気持ちでがんばらないと、他の俳優さんと戦えないって思ってたんです。そういう考えでずっとやってました。 ただ、昨年の緊急事態宣言の時かな。2カ月くらい強制的に休みができて、自分のことや家族のことをいろいろ考えました。その少し前から、心と体のバランスが崩れて不安定になっていたんです。忙しくて寝てなかったし、休みなくセリフに追われていましたから。妻が子どもを怒っている声を聞くのもつらくて、気付いたら耳をふさいでしゃがんじゃっている状態でした。そしたら、涙が止まらなくなったり、気持ちが悪くなったり、過呼吸を起こしたりしていました。自分でも分からないうちに家を飛び出すことが何度も続きました。 それまでは、心の不調って考えたことなかったんです。「そんなの自分の問題だ」「自分でコントロールすればいいだけじゃん」って思ってたんです。でも、コントロールできなくなるんですよね……。あの頃は相当参ってて、このままじゃ倒れるなって思ったんです。その時から、働き方を切り替えることにしました。今は、そうならないように、趣味の時間を使って整えながら生活していますね。