インパクトはPGAツアー級 “規格外”の16歳・松山茉生のスイングを分析
それにしても、なぜここまで飛ばすことができるのか。教え子の試合を見に会場に来ていた目澤秀憲コーチに、松山のスイングを分析してもらった。「初めて力(河本力)を見た時と同じぐらいの衝撃でした。特にフルショットに関してはかなり上質。この年代であれだけ飛ばせて、しっかりとしたスイングができているのは末恐ろしい限りです。朝の練習場で見て、ヘッドがマットに擦れる音がとにかく長かった。つまりそれだけインパクトゾーンが長いということ。ヘッドの入りが鋭角過ぎず低く長いインパクトを作れています。これってよっぽど体が強くないとできないですよ」 “スイングが上質”とはどういうことか。「大柄で体がある人は上半身のパワーに頼りがちで、ボールにぶつけに行くことが多いんです。でも松山選手の場合はそれがない。下半身を上手く使って効率的な動きをして飛ばせています」。いつの間にかスイング動画を撮っていた目澤コーチは、「ほらっ、ココ見て下さい」とダウンスイングのシーンを切り取って見せてくれた。「右ひじがずっと遠いままでしょ。フラットなプレーンのドライバーで右ひじが遠いところをキープするのは難しいですが、彼の場合それがインパクトまでできている。利き手というのはどうしても力が入って、右ひじを体のそばに引き付けやすいのですが、それがない。これならボールの手前をダフることはないんじゃないですかね」。右ひじのキープとインパクトゾーンの長さはセットというわけだ。
「今まで多くの選手を見てきましたが、ロングゲームで飛ばすのはやはり才能が大きい。飛ばせといっても急に飛ばせられるものでもありません。彼は15歳の時点ですでにその技術を持っていて、今のクラブで効率よく飛ばす術を心得ています」と賞賛。実際に松山のドライバーショットは、この日幾度となく330yd先のフェウェイをとらえていた。 松山はこの先プロの試合にも登場する見込みで、男子下部のABEMAツアー「ダンロップフェニックストーナメントチャレンジinふくしま」(8月29日~)、レギュラーツアー「バンテリン東海クラシック」(9月26日~)、「日本オープン」(10月10日~)に出場予定。規格外の16歳のスイングを、ぜひ生で見てほしい。(埼玉県川越市/服部謙二郎)