【社説】2回目の弾劾表決、常識と民心に従うべき=韓国
最大野党「共に民主党」など野党6党が今日(14日)、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾訴追案2次表決を実施する計画だ。国民の力は弾劾に賛成する韓東勲(ハン・ドンフン)代表と反対する親尹派の権性東(クォン・ソンドン)院内代表の2つに分かれて右往左往している。ただ、7日の最初の表決当時に国民の力で2票に終わった弾劾賛成票が2次投票では少なくとも7票に増えると予想され、弾劾可決の可能性は高まっている。安哲秀(アン・チョルス)議員、金宰燮(キム・ジェソプ)議員の7人が賛成の立場を明らかにしたうえ、親尹派の一部でも賛成の動きが感知されているからだ。 それでも権性東院内代表は「まだ党論は弾劾否決」という立場を固守している。一昨日の投票で108票のうち74票を獲得して当選した勢いを背に、弾劾訴追の結果を口実に韓東勲指導部の瓦解を狙う内心が見える。一方、韓代表側は代表職固守に意志を明確にしながら議員の自律投票を主張している。弾劾訴追案が可決すれば与党は分党レベルの深刻な内紛に直面する公算が大きい。 現実的に親尹派はもちろん親韓派さえも「1号党員」尹大統領を弾劾するのは容易でないだろう。核心支持層から「裏切り者」という声を聞くことになり、弾劾で李在明(イ・ジェミョン)民主党代表に次期政権を「献納」するという懸念も大きい。しかしそれでも民心とかけ離れた選択をすれば、政権献納の懸念が現実になる可能性はむしろ高まる。今はつらくて難しくても、民心と常識に合う選択をした後、党を刷新して次期大統領選挙の競争力を備えるのが正道だ。 尹大統領が12日の談話で戒厳の理由に挙げた巨大野党の弾劾乱発と立法暴走は批判を受けるべきだが、その問題を解決するために軍隊を動員したことはいかなる論理でも正当化されない。さらに尹大統領が戒厳直後に指示した逮捕の対象に、李在明代表の偽証教唆容疑1審で無罪を宣告した判事も含まれたという疑惑までが浮上した。大統領が違憲的な戒厳で民主主義と法治を自ら踏みにじったという批判が説得力を得る部分だ。 国民の力が尹大統領の去就についてためらう時でない理由は他にもある。「レームダック」を越えて「デッドダック」という皮肉の声が出てくるほど国家リーダーシップが墜落し、経済・外交が揺らいでいる現実のためだ。弾劾をめぐる政治的不確実性のために株式市場は不安定であり、為替市場でも1ドル=1430ウォン台までウォン安ドル高が進んだ。ムーディーズなどが韓国に10年間維持してきた過去最高の格付けが落ちる可能性も出てきている。 外交も厳しい。1カ月後に米国でトランプ政権2期目が始れば、すぐにも在韓米軍縮小や関税引上げ案などの難題が押し寄せてくるはずだが、我々は誰が交渉の代表になるべきかも分からない状況だ。迅速に「尹錫悦リスク」を解消し、市場と国際社会に韓国の憲政秩序が回復したという信頼を与えなければいけない。民主党も経済・外交だけは政治的な計算を前に出さず、与・野・政協議体に参加して危機の解消に率先してこそ、授権政党の資格を得るということを忘れてはならない。 いま国民は今日午後4時に始まる弾劾訴追案の表決を控えて国民の力を見つめている。権性東院内代表は所属議員の自由表決を認め、尹大統領の時代錯誤的な戒厳宣言に対する責任を明確に問いただして党の刷新に進む必要がある。親尹派の覚醒が急がれる。内紛を機に弾劾反対を固守しながら韓東勲代表を引き下ろして「アンシャンレジーム」に戻れば、現在11%まで落ちた尹大統領の支持率(韓国ギャラップ調査)が1けたになる最悪の事態を迎える公算が大きいということを直視するべきだろう。