【自公大幅減】石破政権に衝撃、頭抱えた候補者「みんな『裏金』議員だと誤解された」…最後は「カオス」になった
■ 劣勢を受け、演説内容は経済・物価高対策にシフト 下りのエスカレーターを逆走するかのような戦いを強いられた首相は、当初は1日当たり5カ所程度だった遊説を、中盤以降は日によって8カ所に拡大。後半戦は大阪、愛知、東京といった都市部を集中的に「回れるだけ回る」態勢を敷いた。 国内外で相次いだ政治家へのテロ行為を背景に、警備が強化される一方、それは有権者との触れ合いの減少にもつながった。 首相は党政調会長時代からの「盟友」である石井啓一・公明党代表とのパイプを生かして支援を得るべく、公明候補を頻繁に応援。中盤には、苦戦する局面の打開を図るため「私も死に物狂いで全国を駆け回る」とし、取り組み強化を党内に求める「緊急通達」を総裁名で発出した。 首相の演説内容は情勢を反映し変遷した。序盤では政治資金問題といった政治改革、防災や安全保障、地方創生に割く時間が相対的に多かった。 これに対し、防戦を迫られる不記載問題に業を煮やし、政権内では幹部クラスらが「もっと物価高対策や経済政策、補正予算について訴えるべきだ」と助言。経済政策に明るい秘書官らも同行してアシストした。 例えば最終日の演説は、冒頭に経済対策を据え、物価高対策や勤労者の収入向上、下請け企業支援、都市農業、人口減少問題に時間を割いた。
■ 自民ベテランの危機感「お金のかかる政治ときっぱり縁を切る機会に」 総裁選勝利から衆院選投票日まで、わずか1カ月。ぶつかっては軌道修正する「走りながら考える」状態の中、遊説で言った「悪夢のような民主党政権」という表現まで批判的に報道されるなど、紆余曲折は尽きなかった。 遊説でマイクを握った一人は「選挙戦終盤には不記載問題について謝罪、釈明しても、聴衆が冷淡だったので、それ以上言うのをやめた。自民党の演説を聞きたい人は、経済などの政策を知りたい場合が多いからか、もう政治資金の話は聞き飽きたからなのか…」と、読み切れないもどかしさを吐露した。 同時に自民党内では「お金のかかる政治と、きっぱりと縁を切る、いい機会とすべきだ。このままでは優れた人材は政治家になりたがらない」(ベテラン議員)との危機感が聞こえた。