原材料高騰で苦境の「丸亀製麺とココイチ」。値上げを続けても“客が離れない”理由
物価高騰でうどん店の経営も厳しい
うどん店も主力食材である小麦粉も1.5倍の値上がりし、その他のコストも他と同様に高騰している。その中で国内最大のうどんチェーンである「丸亀製麺」も、この難局を自店に優位になるように、値上げや付加価値の追求で顧客に理解を求めながら、創意工夫して運営力の強化に努めている。うどん市場も1位と2位には歴然とした差がある。 丸亀製麺を運営するのは株式会社トリドールホールディングスである。1985年8月、焼鳥居酒屋「トリドール三番館」を創業し、2000年11月に讃岐うどん専門店「丸亀製麺」1号店を出店。現在の店舗数は840店舗(2024年3月期)である。2016年10月持株会社体制移行に伴い、株式会社トリドールホールディングスに商号変更して現在に至る。 収益状況は、国内その他と海外事業を含めて、売上2320億円、営業利益116億円、営業利益率5.0%である。自己資本比率は30.5%となっており、資本効率を重視した経営を実践した経営になっているようだ。
圧倒的な優位性を確保した丸亀製麺
中核ブランドの丸亀製麺は、売上の約50%を占めており、順調に推移しており、売上実績は1021億円(2023年3月期)→1149億円(2024年3月期)と12.4%増と伸ばしており、過去最高も更新している。営業利益も116億円(2023年3月期)→183億円(2024年3月期)と、59%増と伸ばしている。営業利益の16.0%は驚異の収益力であり、これだけ儲ける力があるのは素晴らしい。 うどんチェーン業界も店舗数・売上と共に、1位と2位の間には開きがあり、2位の吉野家グループのはなまるうどんは、店舗数418店舗、チェーン売上334億円、営業収入292億円(2024年2月期)だ。丸亀製麺のほうが出店数は2倍以上、売上は3倍以上の差があり、圧倒的な優位性を確保している。 同じ傘下のラーメンのずんどう屋も大阪など関西の既存店が特に好調に推移しており、新規出店した13店舗も順調のようで、店舗数は87店舗(2024年3月期)と増えている。 トリドールホールディングスは、現在、21のブランドを展開しており、適切なポートフォリオマネジメントができるようモニタリング体制を強化中だ。事業・業態・店舗を資本収益性(効率性×収益性)×成長性で把握し、投資に対して優先順位付けしているようだ。