女性議員は日本の“6倍”⁉…ジェンダー先進国台湾で行われている驚異の「意識変革」とは
コロナ禍において国民全員にマスクを配布するシステムをわずか3日で構築し、世界のグローバル思想家100人にも選出された若き天才オードリー・タン。自身もトランスジェンダーであるタン氏が、日本の若者に向けて格差やジェンダー、労働の問題からの「解放」をわかりやすく語る『自由への手紙』(オードリー・タン著)より抜粋してお届けする。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 『自由への手紙』連載第18回 『感染対策の立役者は「柴犬」だった!? …若き天才が考案した「スポークス”ドッグ”」を用いた「巧妙な戦略」とは? 』より続く
男の子“なのに”ピンクのマスク
間違いをただす際こそ、ユーモアが役立ちます。ユーモアはデマを打ち消す力になってくれるのです。 新型コロナウイルス予防対策を進めている最中、1922(台湾の感染対策司令塔CECCにつながるフリーダイヤル)に電話が入りました。ある少年の家族からの訴えでした。 「うちの息子が学校に行きたがらなくて困っています。みんなあなたがたが用意したマスクのせいですよ。マスクが全部、ピンクなんて! うちの子は、『ピンクのマスクをつけて学校に行ったら確実にいじめられる』と言って、マスクをつけようとしません」 ピンクは女性の色、ブルーは男性の色と、誰が決めたのでしょう? しかしそれが無意識にしみ込んでいることは確かなようです。 「財源が限られているので、これしかありません。白や青のマスクはありますが、すべての少年に供給するだけの量はありません」 私たちはそう答える代わりに、ある行動に出ました。
ピンクがヒーローの色になる
衛生福利部の担当官――ちなみにこの担当官が、スポークスドッグの飼い主です――が、衛生福利部の大臣に進言したのです。「次の会見からは全員、ピンクの医療用マスクをつけてカメラの前に出てくれませんか?」 大臣をはじめとする衛生福利部の人たちは、その日からしばらくピンクのマスクをつけてカメラの前に立ち続け、ソーシャルメディアのロゴもピンクに変えました。 ピンクのマスクを嫌がっていた少年は、感染症予防のヒーローがつけているマスクをもっていたおかげで、クラスで一番クールな少年になりました。 これはジェンダーフリーという視点からの事業開発としても、本当に優れた例だと思います。 始まりは、マスクを嫌がっていた一人の少年――つまり、それまで関係ないと思われていた人々、あるいは社会の中で軽視されていた層の声を聞くことによって、ブランドの再構築がもたらされるのです。