トレインワークの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
やばいポイント3「最適なデシベル数」
自宅よりもカフェなどのほうが集中できると感じる人は多いだろう。実は、これには科学的に証明されたデータがある。 米国イリノイ大学の研究によると、50デシベルの環境よりも70デシベルの環境のほうがパフォーマンスが向上し、85デシベルを超えると低下することがわかった。この70デシベルは 「カフェの騒音」 に相当し、85デシベルは ・ゲームセンター ・パチンコ店 の騒音にあたる。 電車内の環境音は通常60~80デシベルであるため、電車も集中力を高めるための非常によい場所といえる。まさに完璧な作業環境だ。 ただし、路線によって騒音の違いがあることに注意が必要だ。例えば、トンネルを通る地下鉄は他の電車に比べて騒音が大きい傾向があり、カーブ部分では90デシベル以上になることもある。 普段利用している路線はどんなものだろうか。もし通勤ルートを変えられるなら、カーブが少ない電車に乗るなどの工夫も役立つかもしれない。
やばいポイント4「準備運動の存在」
集中への準備運動は、実は電車に乗る前から始まっているかもしれない。 デンマークの医学誌「Translational Sports Medicine」に発表された研究によると、 「勉強前に運動をすると脳が活性化する」 という。スウェーデン・ヨンショーピング大学の研究チームが18~35歳を対象に行った調査では、2~60分間のジョギングやウオーキング、サイクリングなどが学習能力や記憶力の向上に効果的だとわかった。 これを電車に乗る前の行動に当てはめてみると、駅に向かい、改札を通り、ホームに向かう一連の動作が短時間の有酸素運動として機能する可能性がある。 自宅から駅まで歩いたり、自転車を利用したりすることもあるだろう。つまり、電車に乗るための行動すべてが脳を刺激し、作業に取り組む準備を整えているかもしれない。 次回ホームに向かう際には、この「準備運動」を意識することで、よりよい脳のパフォーマンスが期待できるかもしれない。
最高のワークタイム実現
ホームまでの軽い運動を終え、座り心地のよいイスに腰を下ろす。 乗車時間という必然的な“締め切り感”を感じながら、適度な騒音に包まれる。 そのすべての要素が組み合わさり、電車内は自然と集中力を高める環境になっているようだ。 明日の通勤時間には、SNSや動画を眺めるのではなく、無理のない範囲で何か作業を試してみてほしい。 スマホで資料を読んだり、資格の勉強をしたりするのもよいだろう。単なる移動時間が、最高のワークタイムへと変わるかもしれない。 トレインワークの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない。皆さんが感じる“やばさ”があったらぜひ聞かせてほしい。
もりあやこ(調査測量系ライター)