トレインワークの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
通勤時間を活用
電車に揺られながら本を読んでいると、なぜか妙に集中できることはないだろうか。周囲のざわめきや振動が、逆に思考を研ぎ澄ませるような“あの感覚”だ。 【画像】「えっ…!」 これが60年前の「米原駅」です(計18枚) ただの気のせいかと思うかもしれないが、実は電車で集中力が高まるのには、科学的な理由があるらしい。本稿では、その秘密を解き明かしながら、電車内で作業をする 「トレインワーク」 の魅力に迫る。そして、さらに集中力を高めるための工夫についても考えてみたい。これを知れば、通勤時間が最強のワークタイムになること間違いなしだ。 筆者がトレインワークを「やばい!」と思う四つのポイントを解説する。
やばいポイント1「ふかふかのイス」
ファストフード店のイスは、わざと硬めに作られているという話がある。座り心地がよすぎると、お客が長時間居座ってしまうからだ。店としては回転率を上げたいので、硬いイスにして長居を防いでいるらしい。 では、電車のイスはどうだろうか。観光列車や新幹線はもちろん、通勤電車のシートでも、座り心地のよいクッション素材が使われていることが多いはずだ。 実際に、シートにアンゴラヤギの毛を使ったり、体にフィットするウレタンを充填したり、数年ごとにシートを交換したりするなど、鉄道会社がイスにこだわっている例もある。 電車の座り心地のよさが、自然と気持ちを落ち着かせ、作業がいつもより効率的に進む理由のひとつになっているのだろう。次に電車に乗るときは、その快適なイスが集中力を高める秘密に目を向けてみるのも面白いかもしれない。
やばいポイント2「締め切り感」
電車に「乗る」ということは、必ずどこかで「降りる」ということだ。当たり前に聞こえるかもしれないが、この「限られた乗車時間」が集中力を高める要因になっている。 クリストファー・コックスの著書『締め切りを作れ。それも早いほどいい。 ──時間と質を両立する仕組み』に掲載されているヘブライ大学の研究によると、明確な締め切りがある状況では無駄が減り、集中力が大幅に向上することが確認されている。電車に乗ると、次の目的地に着くまでの時間が限られているため、自然と 「締め切り」 の感覚が生まれるのだ。 「限られた時間でどれだけ成果を出せるか」 という緊張感が、トレインワークをより効果的にしている。 例えば、30分後に降りる予定であれば、その30分間が作業の完結時間となる。この自然な“締め切り感”が、作業のダラダラを防ぎ、短時間で効率的に進められる要因となる。トレインワークに挑むときは、 「下車までにここまで終わらせよう」 といった目標を立てると、より集中できるかもしれない。