氷河期世代、月収18万円は「自分の努力不足」…賃上げ期待し転職6回、変わらぬ現状、負い目感じる非正規・介護職46歳男性が抱える思い
転職6回
不況のたびに悪化する雇用環境。「6回かな。片手じゃ足りない」。男性は両手の指を折り、これまでの転職回数を振り返った。スキル向上を目指して学び直すような時間も資金もない。年齢を重ねる中、人手不足でも低賃金が指摘される介護職を中心に転職を繰り返した。
結婚意識した女性はいたが
走ることが好きだが、傷みが目立つランニングシューズの買い替えは我慢している。数年前、結婚を意識した女性からは転職を繰り返す自分の姿に抵抗感を持たれた。別れを選び、今も実家で両親と暮らす。婚活サイトに登録する気力さえなくなった。
現在の月収は18万円
社会人らが仕事で求められる能力を磨くために学び直す「リカレント教育」や新しい知識を得る「リスキリング」の推進、社会保障制度の見直しによる若年世代の負担軽減、同一労働同一賃金の徹底、望まない非正規労働の正規化―。各党は衆院選の公約で、氷河期世代を含む現役世代についてさまざまな支援策を掲げる。だが、氷河期世代を巡る問題が指摘されるようになって30年ほどたつ。男性から見ると「今となっては遅すぎる」と感じる政策もある。 非正規の訪問介護職に転職して1年が過ぎた男性の今の月収は、夜勤手当を含めて18万円。ガソリン代の負担が重い。そうした中、国は4月から訪問介護の基本報酬を引き下げた。将来、両親の介護に追われ、働けなくなると想像すると胸が詰まる。
変わらない現状は「努力不足」でも政治を信じて投じる1票
賃上げを期待しながら働き続けて20年。「自己責任」が叫ばれた時代を生き、変わらない現状に「自分の努力不足」と負い目を感じてきた。だが、政治の力を「信じるしかない」。衆院選では1票に願いを託すつもりでいる。
非正規雇用増加
厚生労働省によると、就職氷河期世代はバブル崩壊後の1993年以降、2000年代までに新卒で就職活動をした世代を指す。派遣労働の規制緩和も進み、この世代を中心に望まない非正規雇用となる労働者が全国で増加。新型コロナ下では「雇用の調整弁」とされ、厚労省は23年末までに全国6万4700人余の非正規労働者が解雇されたとみる。同年の非正規労働者数は2124万人に上った。