文化庁の令和7年度概算要求が発表。総額1400億円
文化庁が令和7年度の概算要求を発表した。今回の概算要求は、令和6年度比で31.8パーセント増の1400億円(デジタル庁一括計上分を含む)を計上している。前年度予算は1062億円。 文化財関連では、今後設置が目指される「国立文化財修理センター」の整備事業に2億4800万円(前年度2300万円)が計上。京都での設置に向け、令和7年度以降、具体的な施設整備に動き出す。整備期間は令和12年度までが予定されている。 同じく文化財関連では、「文化財の予防保全型メンテナンスに向けたデータベースの整備事業」が新規として1億5100万円計上。これは、文化財修理において経年劣化が進んでから行う「事後保全型」から、経年劣化が進む前の適切な点検・小修理を行う「予防保全型」へと転換を図るためのもの。個人所有者、自治体、国などそれぞれが管理している文化財の点検・修理記録を一元的に管理し、適切なメンテナンスへとつなげる狙いがある。 国立文化施設の予算は373億5500万円+事項要求。国立科学博物館の研究基盤強化事業に新たに4億1900万円が計上されたほか、独立行政法人国立美術館の美術品のデジタル化推進とコレクション管理業務に1億5200万円が、メディア芸術ナショナルセンター(仮称)の整備に9300万円が、国立博物館所蔵文化財デジタル化・オープンデータ化に1億8800万円が充てられている。 博物館関連では、「博物館機能強化推進事業」が5億9600万円(前年度3億9700万円)。とくに文化庁が力を入れるミュージアムのDXの加速化については2億600万円が新規計上され、博物館における業務のDXに効果的に取り組む館の事業を支援する。 アーティストに関わる事項としては、新たに「芸術家等の尊厳ある創造環境向上促進事業」として2億円が計上された。これは、文化芸術団体がハラスメントなどのトラブルに対して対処方針を定めていないことが多く、また相談窓口も十分に整備されていない現状を踏まえたもの。複数の文化芸術団体にたいして法務やリスクマネジメントなどの専門家を通して機能強化を図るとともに、効果的な外部専門人材の確保に向けた調査・研究も行う。また、1億9000万円(前年度7000万円)を計上する「芸術家等の活動基盤強化」において、文化芸術活動に関する法律相談窓口の実施に7600万円を充てる。 現代アートに関連する分野では、海外アートフェアへの出展や国際発信力のある企画展を支援する「我が国アートのグローバル展開推進事業」が2億4900万円(前年度1億3700万円)で増加。支援事業件数を16件(令和6年度)から26件まで増やす。 「未来のトップアーティスト等の国際的活動支援事業」は、昨年度ベースの1億3100万円。また「新進芸術家の海外研修」は令和5年度から新規応募者が増加しており、予算も3億2900万円(前年度2億200万円)と増加している。