超巨体ボディの[BMW XM]は覚悟の現れ? [過剰すぎる]エンジンとは
■若い富裕層が初めて買うクルマ
ここまでクルマの内容をまったく説明していなかった。BMW XMはV8、4.4Lツインターボエンジンを搭載するプラグインハイブリッド車である。BMWのEVによくある派手な顔つきだがEVではない。 走りはさすがBMWで驚くほどいい。パワフルなのはもちろん、足回りは硬いのに乗り心地がよく、走りに一体感があるからか、全長5110mm、全幅2005mmという巨大なサイズなのに、それほどまでの大きさを感じさせないところもある。 また、アクセルを離した時の減速感が気持ちいいことにも驚いた。EVやハイブリッドの回生ブレーキが気持ちいいと思ったのは初めてだ。何かBMW独自の「秘伝のタレ」のような技術でもあるのだろうか。 今回乗ったのは「レーベル」という上級グレードで価格は2420万円。高いのか安いのかよくわからないが、ラルフローレンのお店で発見した10万円のワイシャツに近いものを感じる。 さすがのラルフローレンも、ワイシャツで10万円というのは今までなかったはず。それが適正な価格かどうかではなく、BMWもラルフローレンもそういう値付けをしないと「やっていけない」ということなのだ。適正な価格かどうかを気にせずに買う人がいて、成立しているのである。 BMW XMは生半可にクルマの知識があると選びにくいクルマだ。一発当てた起業家や、投資で儲けた人たちが初めてのクルマとして買うケースも多いのではないだろうか。 あくまでも想像だが、そういう買われ方が似合うのは確かだろう。そしてそれは悪いことではない。焼肉だろうがペヤングソースやきそばだろうが、超大盛りをカロリー計算などしないでうまそうに平らげる人のためのクルマなのだ。 伝統にあぐらをかかず、チャレンジを続けるBMWは立派だ。デザイン自体は「?」な部分もあるが、それも力業で納得させる。BMW XMは絶好調でイケイケでなければ近づけないモーレツなクルマだった!
■BMW XM レーベルの主要諸元
全長5110×全幅2005×全高1755mm、ホイールベース3105mm、車重2730kg。585ps/76.5kgmのV8、4.4Lツインターボエンジン+8ATを搭載するプラグインハイブリッド車で、システム出力は748ps/102kgmという過剰すぎる性能を誇る。 フル充電時のEV走行距離は105.6kmでWLTCモード8.5km/L。ベースグレードのXMは2130万円。