打ち上げ成功! H3ロケット雌伏からのリベンジ
1号機の打ち上げ失敗でまさに「産みの苦しみ」だったH3ロケット。昨年(2023年)、「悔し涙」にくれた岡田プロマネの姿はいまも忘れられません。それだけに今回の笑顔は宇宙ファンのみならず、多くの日本人を幸せにしてくれるものであったと思います。JAXAの山川宏理事長も「宇宙業界に入って長らく経つが、こんなにうれしい日、ホッとした日はなかった」と感慨深げに語りました。 一方、小型衛星側の関係者である宇宙システム開発利用推進機構の三原荘一郎技術参与は、「リスクよりも軌道上で運用するチャンスと考えた。失敗するリスクは考えなかった」と話します。今回の成功は関係者の努力と決断によるものでした。 H3ロケットは将来が嘱望されているロケットです。現行のH2Aは安定した実績を持ち、日本のロケット技術の象徴的存在でもあります。しかし、打ち上げ費用が100億円前後ということで高コストであることがネックでした。宇宙関連ビジネスをめぐる国際的な競争が激しくなるなかで、海外にもウイングを広げるには、さまざまな衛星を安く打ち上げることが必要です。そのためには、ロケット自体の打ち上げコストを下げなければなりません。H3ロケットはエンジンの燃焼方式をシンプルにしたり、自動車用の民生品などを活用して部品点数も減らし、打ち上げコストを50億円程度に削減しています。 次世代に向けてスタートラインに立った日本の宇宙ビジネス。今回のリベンジはさらなる飛躍に向けて、大きな一歩を踏み出したと言えます。(了)