明治安田生命の人財開発・ダイバーシティ推進室長の桑山裕衣さん

少子高齢化に伴い、中高年の従業員割合が高くなっている明治安田生命保険は、病気治療と仕事の両立を支援する「治療サポート休暇」を令和4年に導入した。導入後も拡充に力を入れ、不妊治療や男女の更年期障害にも対象を広げている。制度利用の促進に取り組む人財開発・ダイバーシティ推進室の桑山裕衣（くわやま・ひろえ）室長に話を聞いた。 －導入の背景は 「長期入院や療養には休職制度があったが、病気によっては定期的な通院のために休む必要がある。その場合、年次有給休暇（年休）を使うことになるが『年休を使い切ったら会社を辞めるしかない』といった不安の声が寄せられていた。シニアの活躍支援や女性特有の健康課題への対応が求められるようにもなっており、気兼ねなく通院できる環境を整えた」 －治療サポート休暇の特徴は 「前年に消化しきれなかった失効年休を活用した制度だ。最大20日間利用でき、時間単位でも取得できる。診断書の提出と上司の承認を一度得れば継続的に使えるが、年休が5日以内になって初めて申請できる。まずは年休を躊躇（ちゅうちょ）せずに使ってほしい」 －利用しやすい風土が必要だ 「セミナー開催や声かけ事例などをまとめたハンドブックを作成し、管理職層に制度への理解を促している。一方で当事者から、同じ境遇の仲間の実体験を知りたいというニーズがあった。『ピア・サポート・ボンド』という治療経験者ネットワークをつくり、同僚の体験談を聞ける機会を提供している。毎回50人ほどが参加し『元気づけられた』という感想も届いている。今後も従業員の声に耳を傾け、制度に反映していきたい」