菊花賞馬キセキなど子孫に一流馬多数 “非凡な影響力”を武器に欧州血統を支えるアホヌーラ
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】 ◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬 【写真】キセキこれまでの軌跡 【アホヌーラ】 無名の安馬からのし上がり、イギリスでスプリントチャンピオンシップ(G2・芝5ハロン)とキングジョージS(G3・芝5ハロン)を制覇。 種牡馬としても意外な成功を収め、ドクターデヴィアス(英ダービー、愛チャンピオンS、デューハーストS)、ドントフォゲットミー(英2000ギニー)、パークアピール(チェヴァリーパークS、モイグレアスタッドS)、パークエクスプレス(フェニックスチャンピオンS)など多くの重賞勝ち馬を出しました。 マイル以下を得意とするスピードタイプですが、英ダービー馬ドクターデヴィアスは例外。同馬は日本に輸入され、ロンドンブリッジ(ファンタジーS、桜花賞2着)を出しました。ただ、同馬も種牡馬としてはスピード寄りの特長を伝えました。 特筆すべきは血脈の影響力。インディアンリッジ、インチナーといった後継種牡馬が成功しただけでなく、前出のパークアピールはケープクロス(シーザスターズの父)の母、ディクタット(ドリームアヘッドの父)やイフラージ(ウートンバセットの父)の2代母となり、パークエクスプレスはシンコウフォレスト(高松宮記念)とニューアプローチ(ドーンアプローチの父)の母、ワズ(英オークス)の2代母となりました。 ロンドンブリッジの牝系はダイワエルシエーロ、グレーターロンドン、キセキなど多くの一流馬が誕生しています。他にアクラメーション(ダークエンジェルの父)、アゼリ(米年度代表馬)、ルロワデザニモー(アニマルキングダムの父)はアホヌーラを母の父に持ちます。英ダービー馬マサー、今年の高松宮記念を勝ったマッドクール、バスラットレオンの母バスラットアマルはアホヌーラのクロスを抱えています。 バイアリータークにさかのぼる異色の父系に属し、母の父マーシャルは希少なブルドッグ系。それ以外もほぼ非主流血統で構成されているという生粋のアウトサイダー血統です。欧州血統に与えた影響はきわめて大きいといえるでしょう。 ◆血統に関する疑問にズバリ回答! 「1年間に最も多くの繁殖牝馬と種付けをした日本の種牡馬は? 」 モーリスです。2017年に386頭と種付けをしました。内訳は、日本国内で265頭、シャトル種牡馬として渡ったオーストラリアで121頭です。海外を含まない日本のみの種付けでは、ロードカナロアが2018年に記録した307頭が最高記録です。