韓国パンスター、定期コンテナ船参入。日韓航路、月末就航。異例のフェリー両立
【関西】日中韓間でフェリー・RORO船を運航する韓国パンスターグループ(日本現地法人=サンスターライン〈大阪市〉)は、6月末から日韓航路で定期コンテナ船を運航開始する。634TEU型船を用船し、釜山と日本の太平洋側主要港との間で定曜日ウイークリーサービスを提供する。同社は今後数年間で日韓の輸送需要が大幅に高まると判断、フェリー・RORO船との異例の二本立てで貨物取り込みを図る。 今月末から開始予定のコンテナ船サービスは、ローテーションが釜山北港(日)▽阪神港(火)▽京浜港(水)▽中京港(木)▽釜山北港(土)の順。当面は用船での対応となるが、今後は中古か新造船による自社船化を検討する。 運航は同グループで外航旅客輸送を担うパンスターラインドットコムが当たる。日本総代理店はサンスターライン。 大阪―釜山間で週3便運航している国際貨客フェリー「パンスタードリーム」や、東京、名古屋、敦賀、金沢各港と釜山、馬山各港などを結ぶRORO船にサービスと合わせ、コンテナ船とフェリー・RORO船によるサービスを両立させる。 コンテナ船サービスの開始は今後、海上小口貨物ニーズが日韓双方向で大幅に高まる公算であるのに加え、韓国での半導体製造拡大や液晶パネル生産増の先行き見通しに伴う日本からの設備関係や部材の輸出拡大見通しが大きな理由という。 同社のフェリー・RORO船サービスは、コロナ禍の物流混乱の下、航空貨物の代替手段として認知度が高まった。一方、足元では円安による日本での消費財需要低迷を受け、韓国からの輸入が低調に推移している。 これに対し、同社は2025年10月稼働予定の第7次NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)での海上小口貨物のマニフェスト(簡易通関)制度対応で、これまで航空貨物が担ってきたEC貨物の海上輸送が大幅に増えると予測する。 日本の主要ネット通販会社による輸入EC貨物需要は、40フィートコンテナ換算で月数千本にも達するという。また近年では雑貨やアパレル品を中心に、日韓双方向で需要が発生しているのも、これまでとの違いという。 またデジタル化の進展で半導体需要が今後も増加の一途をたどるとみられる中、韓国メーカーがAI用半導体の生産増強を図るほか、同国での液晶パネル用部材増産見通しを受けて、日本からの生産装置や部材の輸出拡大も見込まれる。 同社はフェリー・RORO船のスペースだけではこうした需要の取り込みはできないと判断。コンテナ船サービスを開始することで、今後の輸送需要の拡大局面に対応することを決めた。 営業面では、高速輸送貨物はフェリー・RORO船で対応し、それ以外はコンテナ船で引き受けるといった輸送モードの使い分けができ、顧客のニーズに合わせ柔軟な対応が可能となる。当面、フェリー・RORO船とコンテナ船の両事業は分離して運営、営業は社内で連携し対応する。 また25年度上半期に追加のコンテナ船投入を準備、阪神、中京、京浜地域以外にもサービスを提供する方針。日韓だけでなく中国など多様な国へのサービス領域拡大を図る意向だ 国際貨客フェリーを運航する釜山―大阪航路では、25年春に新造クルーズフェリー「パンスターミラクル」投入を予定している。新造船は現行船に対し貨物積載能力が約50TEU増えて250TEUとなる。
日本海事新聞社