グッドデザイン賞、本県から５件選出 Ｏｔｉａｓ（東根）の事務所が特別賞
日本デザイン振興会（東京）は2024年度グッドデザイン賞を発表し、山形県からは5件が選ばれた。このうち総合建設業Ｏｔｉａｓ（オティアス）（東根市）の事務所「さくらんぼ畑のオフィス」は特別賞のグッドフォーカス賞に選ばれ、包装資材製造業の丸定（米沢市）による果物用段ボール「フルーツボックスシリーズ」はベスト100に入った。 さくらんぼ畑のオフィスはサクランボ畑を活用し、木々に囲まれて働ける環境をつくった。周囲の山並みに呼応する三角すいが連なる構造で、開放的な内部空間と共に地域に開かれた事務所になった。審査では特徴的な屋根の形、床の起伏や細長く枝分かれする平面形状、有機的なオフィス空間の先に広がる地域の存在を感じる点が評価された。 フルーツボックスシリーズは山形の果物の魅力を伝えるため開発された。若者を狙いカジュアルなデザインにし、簡単に組み立てられる構造で使い勝手の良さも追求。審査員から「ポップで楽しい見た目だが主張が強過ぎず、バランスの調和した汎用（はんよう）性が高いパッケージ」と評価された。
他に3件が受賞した。生花店「Ｌｏｔｕｓ Ｇａｒｄｅｎ（ロータス ガーデン）」（酒田市）のフリーズドライフラワー「ゼロフラワー」は豊かな色彩を維持しつつ、「水のいらない花」として繊細で美しい花をさまざまな表現で楽しめる。長く花をめで、暮らしを彩る点が好評だった。 建築業の丸桜建成（天童市）による住宅「入れ籠の家」は住宅を覆う外壁を入れ籠状に重ね、周囲の視線を遮って居住者が気兼ねなく生活できる環境を整えた。外壁の重ね方を工夫して開口部も設け、地域コミュニティーとの接点もつくった。 井上貴詞建築設計事務所（山形市）の住宅「風よけの散居」は散居集落の景観を生かした。半屋外の土間は格子戸の開閉で表情を変え、食事や接客、休憩など多用途に使える。軒が深いが、ハイサイドライトと庇（ひさし）を設けて光を取り込んだ。 本年度のグッドデザイン賞には5773件の応募があり、1579件が選ばれた。特に優れたデザインのベスト100から金賞20件を含む特別賞32件が選ばれた。大賞は金賞の中から11月5日に発表される。
