川俣で新鉱物発見、学校長が採取 福島県内21年ぶり 「宮脇石」と命名
福島県川俣町で発見された鉱物が国際鉱物学連合に新鉱物として認定された。福島県内で新鉱物が発見されるのは21年ぶり8種目。福島東高校長の小林寿宣さん(56)が2020年春に採取した鉱物で、「宮脇石」と名付けられた。25日、日本鉱物科学会の英文科学ジャーナルで発表された。 小林さんは地学を専門とする理科教員で、個人的に鉱物の研究に取り組む。新鉱物を発見するのは03年に同じく川俣町で採取した「岩代石」に続く2度目で、「二つ目の新発見でうれしい」と声を弾ませる。発見場所は同じく水晶山で、かつて鉱山採掘の際に不必要な石を捨てた「ズリ」と呼ばれる場所。 ズリで鉱物を採集し、家に持ち帰って顕微鏡で観察していたところ、黄色みを帯びた小さな結晶を発見。「他と違う結晶を見つけ、これはと思った」という。親交のある東京大物性研究所の浜根大輔技術専門職員に鉱物を送り、分析してもらうと新鉱物であることが判明した。
小林さんによると、水晶山には、マグマが固まる際に熱水が冷却され結晶化した「ペグマタイト鉱山」があり、大正から昭和にかけてガラスやレンズに用いられる石英、陶器の釉薬に用いられる長石を採掘する鉱山だった。 水晶山からは、小林さんが採取した2種のほかに、「阿武隈石」「飯盛石」「プロト鉄末野閃石」の3種が新鉱物として見つかっている。小林さんは「水晶山は希少な鉱物が数多く発見されており、これからも新鉱物の発見が期待できる」と意欲を燃やす。宮脇石は今後、県立博物館などで展示される予定。 宮脇石という名は、小林さんが発見した岩代石の研究にも携わった、国立科学博物館地学研究部の宮脇律郎博士にちなんで命名した。