【ナゼ】元大阪地検検事正“性的暴行”裁判で再び垣間見えた検察組織の『闇』…被害女性検事の涙の訴え「なぜもっと早く…」同僚による“情報漏洩”“侮辱”刑事告訴も
■性被害を赤裸々に語った女性検事の異例の会見 検察内部での“二次被害”激白
裁判が終わった後、女性検事は大阪市内で異例の会見を開いた。涙ながらに、いまも続く性被害の苦しみを訴えた。 「約6年間、本当にずっと苦しんできました。なぜもっと早く罪を認めてくれなかったのか。もっと早く罪をみとめてくれていたら、私はもっと早く被害申告ができて、経験を過去のものとして捉え、新しい人生を踏み出すことができた」 震える手を握りしめながら、一言一言、言葉を振り絞る。 「性犯罪や虐待などに苦しんでいる被害者の方がたくさんいる。私は被害にあって苦しんでいる人の力になりたいと思い検事に任官し、たくさんの被害者とともに戦ってきた。私の経験を語ることで、被害に苦しんでいる方に寄り添いたいと思い会見に臨んだ。性犯罪の本質を正しく理解して、被害の本質を知ってほしい」 さらに女性検事は、今年4月に被害を申告した後、復職しようと徐々に出勤し始めた矢先、信じがたい話を耳にしたという。 「私が被害申告した北川被告の事件の内偵捜査中、事件の関係者である1人の副検事が、被告側に捜査情報を漏洩し、被告が当初弁解していた内容に沿うように事実と相違する供述をしていたことが分かった。そして検察庁職員やOBに対して、被害者が私であることを言った上で、『事件当時、酩酊状態ではなかったので行為に同意があったと思う』などと話していた。さらに『PTSDの症状も詐病ではないか。金目当ての虚偽告訴ではないか』という趣旨の、私を侮辱し誹謗中傷する虚偽の内容を故意に吹聴していたことが分かりました」 女性検事はこの副検事による一連の行為について、10月1日に刑事告訴した。速やかな捜査と処分を求めているが、現在までに検察庁から説明などはないという。
■前代未聞の事態…再び問われる大阪地検の“組織風土”
女性検事の刑事告訴について、大阪地検は報道機関に対し、「告訴・告発があったことを含め、捜査機関の活動に関わる事項についてはお答えを差し控える。ただ、一般論として、告訴・告発があった場合には、内容に応じて適切に対応しているところである」とコメントした。 そもそも、どのような組織であっても、所属する人間がハラスメントや何らかの被害にあった時、安心して相談・申告できる環境づくり、風通しの良い組織風土づくりが重要だ。 大阪地検をめぐっては現在、巨額横領事件で特捜部による強引な取り調べが明らかになり、不動産会社社長が無罪となった問題で、国家賠償請求の裁判も開かれている。この問題でも、部下の進言を無視した上司の振る舞いなどが裁判で明るみとなった。 検察庁のトップだった被告が加害者となり、現職の検事が会見を開いて赤裸々に語るという、前代未聞の事態となった今回の事件。女性検事が打ち明けた悲痛な心の叫びに、検察組織はどのように向き合うのか…徹底した検証を行い、真実を明らかにしようとしない限り、国民からの信頼は到底得られない。