「78歳の命」あと何年生きるのか…岩手の過疎地で暮らす被災者の人生
ここで生きていく
畠山さんは、商店街でその日食べる分の野菜や肉や魚を買い、自宅で自分で料理する。 肉が好きだが、身体のことを考えて、あまり食べなくなった。 だから、魚を食べる。 塩焼きに蒸し焼き、煮物。 「シンプルに味付けして食べるのが一番」と畠山さんは言う。
ストーブをつけて、テレビの前に座る。 好きな野球中継を見ては、またいつか、球場で応援したいとも願う。 孫の話をする時、涙を浮かべて語り、顔をくしゃくしゃにして笑う。 「普代には、いろんな思い出がある。いいこともあれば、嫌いになることもあった。でも、ここで生きていくしかない」 時々、無料村営バスに乗って黒崎・北山崎へ足を運ぶ。 遠方から友人が訪ねてきたら、絶対案内する黒崎展望台の景色。 「この海の景色が好きなんだよなぁ。この人生、幸せだと思うしかないよ」
この記事は、復興庁の「新しい東北」情報発信事業として、日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)が実施した東北ローカルジャーナリスト育成事業の受講者による作品です。執筆:鬼束拓哉
鬼束拓哉