「第3子以降に1000万円」は実現可能…!岸田より自治体が考える「超・少子化対策」のほうが「異次元」に思えるワケ
「第3子1000万円」から見えてくること
前編「「第3子以降に1000万円」で子どもは増えるか…政策通たちが動きはじめた「超・少子化対策」驚愕の中身」で紹介してきたように、東京・港区の斎木陽平区議は、「第3子以降に1000万円を支給する」という政策を港区で実現し、全国に広げることができないかと考えている。 【一覧】「次の首相になってほしい政治家」岸田は15位…上位に入った「意外な議員」 また、財政学者で法政大学の小黒一正教授もまた、その政策は有効だと考える学者のひとりだ。 この2人に、いま異次元の少子化対策が紛糾している国会で、子育て対策のためにエビデンスを重視して財源の面からもエッジの効いた政策提案を行っている国民民主党の玉木雄一郎代表に加わってもらい、「第3子以降に1000万円を支給する」という政策が、どの程度、有効なのか、またどのくらい実現可能性があるのかについて議論してもらった。 政府の異次元の少子化対策は総花的で何がメリットなのかよく分からない。 まずは「第3子以降に1000万円」というインパクトのある政策を議論してみると、一見、不可能に思えた少子化対策が「やればできるんじゃないか」と思えるものに見えてきた――。
実は、けっこう簡単にできてしまう
小黒一正 いま子どもを育てているカップルに、あと1人ないしは2人子どもを生んでもらえれば、出生率は劇的に回復します。国立社会保障・人口問題研究所のアンケートを見ても、多くの婚姻カップルが、2人ないしは3人の子どもを持つことが理想だと考えているのに、経済的には1人ないしは2人に留まっています。であるならば、「第3子以降に1000万円」という政策は、なかなか有効だと思います。 玉木雄一郎 同感です。私もずいぶん前から第3子に1000万円を主張していますが、子ども家庭庁も似たような考えを持っています。同庁の「子ども未来戦略・加速化プラン」でも、第3子以降については月額3万円を高校生まで支給することになっている。今国会で異次元の少子化対策が通れば、3人の子どもをもてば、総額で1100万円が支給される計算です。それに加えて「第3子以降に1000万円」の政策が実現するとなれば、そのインパクトは大きなものになる。 斎木陽平 その実証実験をまずは東京港区でやってみたい。港区は、実質収支が黒字で毎年100億円が積みあがっています。基金も2000億円くらいあって、財政調整基金も800億円ある状態です。2021年に港区で生まれた第3子は214人なので、1人1000万円支給しても21億円。基金の運用の方法を変えるなど、ちょっとした工夫で捻出できる金額です。 玉木 それを国でやるとしても、実はけっこうリーズナブルなんですよね。1000万円をどのように配るのかは議論が必要ですが、たとえば月割りで子どもが18歳になるまで分割して支給すれば、月額4万6000円くらいです。いま、国の加速化プランで第3子に3万円が支給されることになると、あと1万6000円を自治体でプラスすればいい。たとえば都道府県が8000円、市区町村が8000円というように割り振ってもいいでしょう。こう考えると、やろうと思えば、簡単にできてしまう。 小黒 第3子に1000万円を支給して、仮に30万人の第3子が生まれたとすれば、単純計算でその予算は3兆円。いまの異次元の少子化対策と同じ予算規模で可能です。 玉木 現状では、第3子の出生数は15万人程度。つまり1.5兆円からスタートできる。そう考えれば、異次元の少子化対策の予算の半分ですね。 わが国民民主党は、子ども国債(教育国債)を発行してでも、子育て支援をするように主張していますが、子どもが1人生まれることで、将来は納税によってそのお金は必ず返ってくるので、少子化対策や子育て支援は、誰にとってもメリットのある有効な政策なのです。