加速する“前髪命”カルチャー、アイドル・美容系YouTuberの影響で「前髪クリップ」も定番化 立役者は意外な企業?
■前髪を守る新定番アイテム、普及の背景にSNSと「カワイイ」あの企業
前髪命カルチャーが広がる中、若い女性の間で新たな定番アイテムとなっているのが「前髪クリップ」だ。前髪クリップとは文字通り前髪専用のヘアクリップのことで、勉強やデスクワーク、食事、洗顔、メイクなどの際に前髪が邪魔にならないように仮留めするために用いられる。 ポイントは通常のヘアクリップとは異なり、面で髪を押さえるため跡が付きにくいこと。構造はシンプルながら、跡をつけないための面の広さやクリップの強度など細かいこだわりが詰まっている。 大切な前髪を乱れやうねりから守る便利なアイテム。とはいえ、ここまで普及したのには理由があった。キーワードは「カワイイ」だ。 あくまで実用品ながら、昨今はアニメやマンガなどのキャラクター付きのカワイイ前髪クリップが目立つ。その起源を辿ったところ、「前髪クリップに初めてキャラクターを付けたのは当社だと自負しています」という証言を、日本のカワイイ文化を牽引してきたサンリオから得られた。 「サンリオが初めて前髪クリップを発売したのは2013年。当時は今ほど一般的ではなかったものの、“前髪用”をうたったシンプルな形のヘアクリップはありました。キャラクターを付けるというアイディアは、『カワイイを作るためのアイテムなら、カワイイものが欲しい』という1社員の提案からでした」(サンリオ商品企画担当、以下同) 商品第1弾は、ハローキティのリボンだけが付いた前髪クリップ。当初より売上は好調だったが、本格的にブレイクしたのは2014年にキャラクターの“顔”のデザインを付けた前髪クリップを発売してからのことだという。 「その頃から、美容系YouTuberという存在が増えた印象があります。その方々がメイク動画でサンリオの前髪クリップを付けてくださり、それをご覧になって購入される視聴者さんも多かったのかなと思います。コツコツ売れていた前髪クリップですが、その頃から一気に人気商品へと駆け上がっていきました」 本来は人に見せないメイクをする姿を、可視化させるのが美容系YouTuberの仕事だ。実用品でありながら画面映えもするキャラクター付き前髪クリップは、隅々までカワイイにこだわりたい美容系YouTuberにうってつけの商品だったのだろう。 なお、2014年はInstagramが日本でサービスを開始した年でもある。また2017年にはTikTokが日本に上陸し、たちまち若者の間で人気に。“前髪命”カルチャーとSNSの関係は前述した通りで、前髪クリップが定番化していった背景には複合的な時代の後押しがあったようだ。