国会職権関連法改正 2万人超が立法院周辺で抗議 野党に話し合い求める/台湾
(台北中央社)国会職権関連法改正案の審議を巡り、台北市の立法院(国会)周辺には24日午後3時現在、市民2万人以上(主催者発表)が詰めかけ、抗議活動を行っている。抗議に参加した市民団体のメンバーは、改正法案が可決されれば、国会が何でも見境なく調査できる「スーパー特別捜査班」になるのではないかと懸念を示している。 立法院では同関連法案を巡り、強行採決を図る野党の国民党や民衆党と、丁寧な話し合いを求める与党・民進党の間で攻防が繰り広げられている。今年1月の立法委員(国会議員)選では、民進党の議席が過半数を割り込む一方、国民党が第1党に返り咲き、立法院は“ねじれ”状態にある。21日の審議は14時間半にわたって行われ、24日の立法院院会(国会本会議)で審議が再開された。立法院周辺では21日にも大規模な抗議集会が行われていた。 この日、抗議に集まった市民らは「話し合いなしでは民主主義ではない」「私は今の国会を軽蔑する」などのスローガンを叫び、野党の強行採決に不満を訴えた。1990年の学生運動「三月学生運動」の象徴となったユリを手にした人の姿も見られた。 市民団体は、法改正の最も大きな衝撃は、個別の立法委員(国会議員)が公務員に対して民間の資料を強制的に提出させる「スーパー質疑権」や、調査対象が民間に及ぶこと、市民や企業、市民団体の個人情報や営業秘密を守る措置の欠如などにあると指摘する。 シンクタンク、台湾経済民主連合の許冠沢副秘書長は、立法委員個人への「スーパー質疑権」の付与は、立法委員による職権乱用や個人、民間企業、団体の権利を損なうことにつながる可能性があるとの見方を示す。非営利団体、台湾民主実験室の呉銘軒執行長(CEO)は、改正法案では一般人や軍隊、企業、市民団体など全てが調査対象になる可能性があるとし、憲法が保障する自由とプライバシーの権利を侵害することになると問題点を提起する。例として、今後、仮に立法委員が潜水艦の国産計画を調査しようとした場合、造船会社に営業秘密を提出するよう要求することが可能になり、提出しない場合には過料を科すことができるとし、政敵や社会上で気に入らない人や団体を経済的脅迫で攻撃できるようになると説明した。 抗議活動は立法院周辺の他、中部・台中、彰化、南部・嘉義、台南、高雄、東部・台東など各地で行われている。 (高華謙、謝幸恩/編集:名切千絵)