【解説】「マイナンバーカード」トラブル続出 “人為的ミス”や“システムに問題”… 個人での対策も
■「“5情報”の確認徹底」にルール変更 専門家「環境整わぬうちに…」
こうした誤登録を防ぐため、厚生労働省はこれまで確認に使っていた「氏名・生年月日・性別・住所」の“4つの情報”のうち、「氏名」をさらに「カナ氏名」「漢字氏名」と細かく分けて、“5つの情報”にするということです。これで「カワデさん」が、「河出」「川出」「河手」「川手」など漢字で見分けられる可能性が高まります。 さらに、これまで「住所」などの確認を怠っていた場合は、「確認を徹底する」といったルールに変更しました。
ただ、こうした問題について、ニッセイ基礎研究所の村松容子さんに聞くと「(サービス活用の)環境が整っていないまま(カードの)実用化が進んでしまった可能性がある。本来であれば、もっと時間をかけて『本人自らがチェック』するなどのステップを踏んでおけば、ミスは見つかったはず」だと話していました。
■「公金受取口座」別人とひも付け・他人の証明書を印刷… 私たちにできることも
保険証以外でも、トラブルは相次いでいます。 マイナンバーと銀行口座をひも付ける「公金受取口座」でも、別人とひも付けられるトラブルが8つの自治体であわせて13件起きています。 これは、市役所などに置かれている端末で銀行口座をひも付ける際、「Aさん」が作業を終えた後に「ログアウト」操作をしないまま、次のBさんが操作を始めてしまったことで起きてしまいます。このような場合ではAさんのデータが残ったままなので、最初に使った「Aさんのマイナンバー」に「Bさんの口座」がひも付けられてしまったというものです。 このトラブルについても、デジタル庁では「ログアウトの徹底」と、登録された「口座の総点検」を行う考えを示しました。
さらに、マイナンバーカードを使って、コンビニで住民票や印鑑証明などを印刷できるサービスでも、「全く知らない赤の他人の証明書が出できた」という信じがたいトラブルが起きています。 こちらは、運営する会社の「システムトラブル」ということで、河野デジタル相がサービスの「一時停止」を要請し、現在、順次自治体ごとに運用を停止して、一斉点検を行っているということです。 これまでのトラブルを総括すると、“人為的なミス”と“システムのトラブル”がダブルで起きてしまっていることになります。こうした中、私たち個人ができることもあります。
「マイナ保険証」と「公金受取口座」を登録したという人は、スマートフォンの「マイナポータル」で自分の情報を確認することができます。マイナンバーカードを使ってログインした後に「注目の情報」から「最新の健康保険証の情報の確認」などのメニューで、自身の情報に間違いがないか、確認が可能です。 数分で確認できますので、ぜひ一度確認してみてください。 (2023年5月24日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)