《増える父親の産後うつ》「弱みを見せてはいけない」父親を追い詰める“有害な男らしさ”とは…法整備進むもいまだ「育児=母親」の文化根強く
産後うつを防ぐ「睡眠時間の確保」
支援制度が不足している現状で、産後うつを防ぐためにできることは何なのか。 そのひとつが「睡眠時間の確保」だ。 「睡眠」はメンタルヘルスに強く影響する要因の一つではあるが、そもそも育児では夜泣き対応で3時間おきに起こされるなど睡眠が乱れやすいのが現状である。 「子どもを健康的に育てるのは、親の健康的な生活があってこそだと思います。夫婦それぞれがまとまって寝る時間を確保するために、夜泣きや夜間のミルク対応を当番制にしたり、父親が仕事に復職しているならば帰宅後の午後10時までは父親が育児を担当し、その間に母親が寝て夜間に母親が対応するなど工夫する必要があります」(平野さん) 親のメンタルヘルス不調は子どもの発達にも悪影響を及ぼす。メンタルヘルスの安定に非常に重要な「睡眠時間の確保」と「食事のリズム」について、夫婦がお互いを気にかけ相談し合うこと、そして負荷の総量を適切に調整することが重要となってくる。 では、それでも産後うつになってしまった場合はどう対応すればいいのか。 「理想的なのは一度、全ての負担から離れることです。負荷も減らさず休まない状態でメンタルヘルス不調を治すのは不可能といってもいい。体に異変を感じたならば、仕事と育児から離れ、一人で数日ゆっくり寝て休むことが望ましいです」 夫婦だけで何とかしようとせず、祖父母や会社の上司、専門機関など周囲に支援を求めることが最優先となる。そしてふだんからいざというときのために相談先を確保しておくことも重要だ。 厚生労働省によると、令和4年度の男性・女性の育児休業取得率の推移は、男性が17・13%と前年度より3・16%上がったが、女性の80・2%(前年比-4・9%)とはいまだ差が開いているのが現状だ。また育休の取得率が上がったとしても復職後の長時間労働が見直されない限り、根本的な解決には至らない。夫婦が仕事と育児を両立するためにはどんな支援が必要なのか。
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