<解説>松下洸平 当たり役がもたらしたさらなる魅力 パブリックイメージ逆手に
人気を不動のものとした後も、22年4月期の「やんごとなき一族」(フジテレビ)では大財閥の御曹司、22年10月期の「アトムの童」(TBS)では理知的な良きライバル役を好演。「合理的にあり得ない~探偵・上水流涼子の解明~」では、思わぬ裏切り行為をしでかしていたことが明らかになる相棒を演じ、「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」では主人公に離婚を切り出す夫を演じた。
そして、「いちばんすきな花」で演じたのは、出版社社員の春木椿。優しく面倒見がいいものの、そんな“いい人”の自分を客観的に見つめているが、言いたいこともたくさんあって、可愛い面もあるという難役だったが、見事に演じきった。
ソフトな語り口も相まって“癒やし系”の役で人気を博した松下さん。他方で、アーティストとしてのパワフルなステージングや、そのパブリックイメージを逆手に取った二面性を持つミステリアスな役どころを演じられる点も新たな魅力になっている。「9ボーダー」で演じる記憶喪失の青年“コウタロウ”はどんな人間だったのか。松下さん自身の魅力が役どころにさらなる深みを与えているといえるだろう。