【渡辺満里奈】「現実逃避なくして、毎日を生き抜いていけない!」子育て・仕事・夫婦関係…どうしても不機嫌になってしまうことの多い私たち
そんな時に今は編み物をする。なにも考えない。一心不乱に編み棒を進ませる。自分の思いのままに形が出来上がっていく。少しくらい目が揃っていなくたってかまわない。これが私の今の実力だし、練習すればそれなりに成果が見えるのもうれしい。この、自分のしたことに納得できてすぐに手ごたえを感じられる感覚が毎日の中にはなかなかない。だからのめりこむ。やれば応えてくれる、確かな手ごたえを得るために。
でもまあ、不機嫌ばかりでもいられないのだ、私たちは。
「お母さんの笑顔が家庭を明るくする」 とかいう言葉は全然好きではないけど(みんなが労り合い明るくいればお母さんだって笑顔でいられるさ)、誰のためではなく、自分のために日々を機嫌よく過ごしたいと心から思う。最近よく使われる「自分の機嫌は自分で取る」という言葉、これは2018年に芸人のみやぞんさんがテレビ番組の大変なロケの時に放った言葉だという。何となくこの言葉を使うのに気恥ずかしさを感じていたけど、確かに素敵な言葉だなと思う。誰も私の機嫌は取ってくれないし、自分の機嫌を直せるのは自分だけだからね。 本当につらい時は不機嫌だっていい。逃げ場はほしい。無理はしたくない。ただ私はこういう理由で不機嫌です!と周りに伝える努力はしたい。理由がわからないと周りの人たちもどうしたらいいかわからず困るしね。そしてできるだけ自分自身に縛られることなく、私自身の心地よさを探していきたい。 このエッセイは、これから来る、あるいは真っ只中である更年期世代の私たちの憩いの場になるといいなと思っています。50代からの毎日をどのように過ごしていくのか、不機嫌な時はどのように対処するのかなど、ひとりで抱え込んで苦しくならないように、髪振り乱してるのは私だけじゃないんだと知ってもらえるように、不機嫌な私たちのご機嫌な交流の場を作っていきましょう。
渡辺満里奈
1970年 11月18日生まれ、東京都出身。 伝説的アイドルグループ、おニャン子クラブのメンバーとしてデビュー。清潔感あふれる明るいキャラクターで、テレビ・ラジオなど多方面で活躍。現在、TBS系『ひるおび』コメンテーター、ニッポン放送『オールナイトニッポン MUSIC10』毎週木曜パーソナリティを務める。 2005年にお笑い芸人・名倉潤氏(ネプチューン)と結婚。2007年長男出産、2010年長女出産。 台湾や手芸、ピラティスなどカルチャー通としても知られ、ナチュラルなライフスタイルを綴る書籍の評価も高い。著書に『nuuamu手帖』(集英社)、『はじめてのこそだて 育自道』(ソニー・マガジンズ)など。 最近は映画『OUT』での女優活動復帰や歌手としてのライブ活動などでも話題に!