【渡辺満里奈】「現実逃避なくして、毎日を生き抜いていけない!」子育て・仕事・夫婦関係…どうしても不機嫌になってしまうことの多い私たち
育児や家事、仕事などで時間に追われる毎日。さらに追い討ちをかけるのがホルモンバランスの変化や更年期などによる心身の乱れ。子どもは言うことを聞かないし、天気が悪いと体調を崩すし、SNSからはなんだか不穏なニュースが流れてくる……。残念ながらオトナの女性にとって「不機嫌」にならざるを得ないことが世の中には溢れています。 50代・渡辺満里奈が眼鏡をかけて編み物をする姿【写真を見る】 デビュー当時からずっと変わらないハッピーな雰囲気を纏い、タレントとして幅広くテレビやラジオで活躍中の渡辺満里奈さん。2005年にお笑い芸人の名倉潤さん(ネプチューン)と結婚。健やかに育った息子さんと娘さんは現在ともにティーンエージャーに。家事に仕事にと充実しつつも、忙しい毎日を送りながら、常に笑顔で幸せオーラで輝いて……。 そんなハッピーなイメージの満里奈さんも、50代に突入。実は私たちと同じで「不機嫌」だった!? オトナになるのは、誰もが初めてのこと。肉体的にも精神的にも初めて訪れる変化に不安を感じる女性たちにそっと寄り添い、一緒に闘ってくれる満里奈さんのエッセイがスタート!
不機嫌ばかりな私たち
私は今、猛烈に集中している。ただただ一定の動きをする棒の先を凝視しながら、ぶつぶつと数字を唱えている。 私は今、編み物にとらわれている。1本の毛糸が2本の棒によって複雑に絡み合い、形と模様をなしていく。その出来ていく様は、なんとも感動的で気持ちよく、喜びにあふれている。この満足感、他ではどこで得られよう……。 これ、「現実逃避」です。時々猛烈に現実から逃避したい衝動にかられることがあります。夕飯のこととか子どもの成績のこととか、親とけんかしてしまったこととか、あれもこれも全部忘れて自分のやりたいことだけを考えていたい。そんなことありませんか? 私が不真面目なだけなのかな(ちょっとその自覚はあるけど)。 しかし現実逃避なくして、毎日を生き抜いていけない!というくらい、私たちを取り巻く環境はけっこう厳しいものがあります。仕事をしながら、子どものお弁当を作り、塾や習い事の送迎などをアイドルのマネージャーのごとくパズルを組み合わせるようにオペレーションしていく。子どもは反抗期でいうこと聞かないし、勉強もしない。あーストレス! 仕事終わり、毎日「それ、Uber Eatsでいーんじゃなーい?」なんてわけにはいかないので、帰宅後大急ぎで夕飯を作る。夫と日々のオペレーションについて話したいけど、なかなかゆっくり時間を取れないという話もよく聞きます。家事の負担はどうしたって女性にかたよりがち。どうして私ばかりこんなにやらないといけないんだろう。でも週末はたまった家事をやらないとな……。あれもこれも完璧にしようなんて思ってはいないけど、我慢しろとも言われていないけど、理想なのか、はたまたSNSの中、誰かの眩しいキラキラライフを見て「あー私はできないな」と比べちゃったりしてるのか。いつもそんなもので自分を縛りつけている。そしてできないことへの歯がゆい思いをなんとか飲み込む。疲れてついイラっとして子どもに八つ当たりして、さらにもやもやした気持ちを抱える。はっきりと言葉にはしないけど「焦燥」という文字が頭に浮かぶ。 そんな風に、毎日をなんとか綱渡りで歩いている。 あ、眉間にしわ寄ってる? ふぅ。私、また不機嫌だ。 いつだってそれを変えるのは自分しかいないのに、それには気づかない振りをする。 そして今、いわゆる更年期といわれる時期に突入している。この時期、特に50代からは体や心にも変化が起きてくるころ。体力があった時の記憶が新しいため、「あれ?なんか疲れやすいな」「頑張りがきかなくなってる?」なんて気が付いた時の気持ちは、それまでに味わったことがないざらっとしたザワザワ感がある。 「こんな風に老いていくのか……」 いやでも年齢を突き付けられる。