パーティー収入還流、なぜ再開 意志決定プロセスいまだ不明、一連の公判で解明なるか
自民党の安倍派(清和政策研究会)がパーティー収入をキックバック(還流)する慣例は、令和4年に一度中止の方針が出されたものの、同年中に再開されたとされる。国会では再開を誰が主導したかを巡って質問が集中したが、意思決定プロセスは不明のまま。10日に東京地裁で開かれた安倍派事務局長の松本淳一郎被告(76)の初公判でも、検察側は触れておらず、今後の一連の公判で明らかになるか注目される。 【写真】2023年12月、自民党安倍派の会合を終え、引き揚げる松本淳一郎被告 還流は令和4年4月、会長だった安倍晋三元首相ら安倍派幹部の会合で中止が決定。同年7月に安倍氏が亡くなり、同8月の幹部会合で再開について協議後の同年秋、再開されたとされる。 事件発覚後の今年2~3月、衆参両院は政治倫理審査会を設置。西村康稔前経産相など安倍派からは幹部ら8人が出席し、還流再開に至った経緯について聞かれた。 だが、政倫審で西村氏は8月の会合では再開について「結論は出なかった」とし、その後については「承知していない」と発言。世耕弘成前参院幹事長は再開を「誰が決めたのか私自身も知りたい」とするなど、明確な結論は出なかった。 還流が始まった時期についても、塩谷立元文科相が「二十数年前に始まったのではないか」と述べた一方、主導した人物や理由については知らないとの説明に終始した。 一連の事件を巡っては、安倍派にいた衆院議員の池田佳隆被告(57)=自民除名=や参院議員の大野泰正被告(64)らの公判が今後、開かれる予定。6月19日には二階派(志帥会)元会計責任者の永井等被告(70)の初公判も予定されている。