水の惑星(10月13日)
我々に身近な農業も淡水を大量に必要とする。世界の水田面積は約1・6億ヘクタールに達し、1ヘクタールあたり約1万立方メートルの水が必要とされるため、全体としておよそ1600立方キロメートルの水が使用されていることになる。日本でも、約240万ヘクタールの水田に対して琵琶湖と同規模の年間約24立方キロメートルの水が使用されている。瑞穂の国、日本は豊かな水資源に支えられているのである。 水循環により海水、淡水、地中、氷河、大気中の水分、そして生物の体内などが複雑に行き来しながら絡み合っている。気候変動への対応としても資源としての淡水の管理は非常に重要だ。何より、水道がなく家庭から安全な水源までも遠く、毎日十分な量の安全な淡水を確保できず近場の不衛生な水の使用で生命の危険にさらされている人々はいまだ世界に多く存在する。 (中岩勝 産業技術総合研究所 名誉リサーチャー)