農家の伝統行事残そう 川路で収穫感謝祭【長野県飯田市】
農家の伝統行事を残し、後世に伝えようと、長野県飯田市川路地区農業振興会議はこのほど、地区収穫感謝祭をJAみなみ信州川路事業所で開いた。幅広い年代の住民が集まり、餅つきや豊作祈願の繭玉、餅花飾り作りを体験した。 川路はかつて「日本三大桑園」の一つといわれるほど養蚕業が盛んだったが、安い輸入生糸や化学繊維の普及で次第に衰退し、かつてはほとんどの家庭で作った餅花、繭玉飾りも縁遠いものになった。 収穫感謝祭はそれらの作り方と農作物の実りに感謝する心、水害の歴史の中で育んできた「お互いさま」の心を伝えようと、農協の養蚕部会が昭和50年代に始めた行事で、その後は地区マネージメント推進協議会、現在は地区農業振興会議が受け継いでいる。 今年は市民農園「川路農園」の利用者が無料提供した焼きいもで体を温めてから、子どもたちが繭玉作りと餅花の飾り付けを体験。昼にはつきたての餅を「餅しゃぶ」として味わった。 川路JA女性部は、収穫したカボチャを一足早い冬至かぼちゃとして無料で配った。 餅花、繭玉飾りは川路自治振興センターと川路小学校、川路保育園、天龍峡観光案内所に飾り付ける。 農業振興会議会長の関島道明さん(53)は「僕らの世代でも農業の歴史には詳しくないし、風習に親しんできたといはいえないけれど、このような形で共有し、伝えていくのは良いこと」と話した。