『不適切にもほどがある!』3話を考察。まさに「#八嶋無双」!
セクハラまみれの昭和のバラエティ番組と、発言一つひとつにびくびくしている令和の番組。そんな中、時代を超えた小川市郎(阿部サダヲ)が気づくのは?『不適切にもほどがある!』(TBS金曜夜10時~)3話を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。
昭和vs令和 テレビ番組の違い
脚本の宮藤官九郎本人が連載コラム(『週刊文春』「いまなんつった?」2/15号)で『タイガー&ドラゴン』第5話(夫婦漫才師の絶妙な距離感を描いた厩火事の回!)、『いだてん』の人見絹枝さん回と並ぶ「神回」と自負していた『不適切にもほどがある!』第3話。 コンプラ完全無視の昭和のバラエティ番組『早く寝ナイトチョメチョメしちゃうぞ』と、MCが不祥事を起こしてしまった令和の生放送『ツツミンの!プレミアムサタデー』が交互に映し出される。 銀座じゅわいよ・くちゅーるマキ提供のコーナーがある『チョメチョメ~』のMCはズッキーこと鈴木福助(ロバート・秋山竜次)。1話から主人公の小川市郎(阿部サダヲ)によって乱発されていた単語「チョメチョメ」を番組名に冠していることからは山城新伍が、「代々婦人科の家系」で白衣に聴診器という出で立ちからはケーシー高峰が思い浮かぶ。 いっぽう現代で放送されるお昼の情報バラエティ『プレミアムサタデー』は、時空を超えて秋山の相方であるロバートの山本博演じる堤ケンゴがMCの番組だったが、彼の四股交際が週刊誌にすっぱ抜かれることが判明する。そこで、2話で渚(仲里依紗)が飛行機をビジネスクラスにするかどうかの基準にしていた八嶋智人(八嶋智人)が、急遽MCの代役を務めることに。 プロデューサー兼総合演出の栗田(山本耕史)は、八嶋に「ネットニュースにさえならなければ」「面白くなくていいですからとにかくクリーンに」と念を押す。打ち切りか続行かが思いがけず自分の肩にかかってしまった八嶋がその大役を受けて立ち、「しれっと大河ドラマに潜り込み、しれっと歌舞伎界にも潜り込んだ、ミスターしれっと」と啖呵を切るところで栗田が「うるせえな」と言うシーン、まさにNHK大河ドラマ『新選組!』(2004)の土方歳三と武田観柳斎を思い出した人も多いだろう。