懐かしさと新しさを完璧に融合。『眼差し』に感じる新しい才能
たった一つの言葉が世界を変える
最近、キダルトという言葉を耳にする。キダ・タローさん似のおじいちゃんのことではなく、キッズ(Kids)とアダルト(Adult)を掛け合わせた造語なのだそうで、大人になっても子供の心を持ち続けている人のことらしい。 特におもちゃ業界ではカードゲーム、プラモデル、フィギュア、ぬいぐるみ、カプセルトイなどキダルト向けの商品というものが増え続けているようで、たしかに我が家も息子たちがポケモンカードにはまった時、対戦につきあっているうちに気づけば親の我々の方が躍起になってカードを集めていたりした。 漫画やアニメもキダルト層がターゲットのものがあるように思うし、音楽もアイドルなどはある意味でキダルト層がターゲットと言えるのかもしれない。カレーやハンバーグみたいな食べ物が好きないわゆる「子供舌」の人も言うなればキダルトなのだろうし、秘密基地みたいなガレージで車やバイクをいじるのもキダルトといえばキダルトなのかもしれない。 今まではっきりと名前がなかったものに名前がついたことで何かが爆発的に広がることがある。最近だと、「ハラスメント」がそのいい例かもしれない。ハラスメントという言葉が世間に広まった瞬間、日常に潜んでいた精神的苦痛のすべてに「〇〇ハラスメント」と名前がついて、世の中の人間関係のあり方が一気に変わっ た。 そんな風に、たった一つの言葉が世界を変えることがある。キダルトな部分は誰の心の中にもある気がする。皆が自分の時間を大切にしようとする今の時代、こういう言葉が趣味にまつわる商売のあり方を大きく変えるのかもしれないと、ふと思った。
変わりたいと思ったなら
8月14日放送のABCテレビ『これ余談なんですけど・・・』でのこと。元は正統派の漫才をしていたリンダカラーというコンビが、ある日突然、カリスマとその信者というキャラを設定し、そこに素人の女の子を加えた3人組のリンダカラー∞となり、急激にブレークした。カリスマのDenさんが、自身のキャラ作りについて、「いっぱい(要素を)足して、引きゃあいいんすよ」と話すと、かまいたちの山内健司さんが「(今の服装に)色々カリスマの要素があるけど、何が最初で、何が最後?」と尋ねた。すると、Denさんは照れた様子で「最初は(黒い)ネイルで、最後は(メガネの)チェーンです」と答えた。爆笑して、山内さんが「(色々足していく中で)引いたのは?」と続けると、「手袋……みたいなの。革手袋。ちょっと邪魔なんですよ」と、言いたくなさそうに、はにかみながら答えた。 まずはいっぱい足して、あとで引けばいい。いい言葉だなと思った。カリスマだってそこにたどり着くまでには色々と紆余(うよ)曲折があったのだ。それなのに、周りの目を気にして、何も変われずに、何も変えられずに、日々を無為に過ごすなんて、もったいない。変わりたいと思ったなら、今日より早い日はないのである。彼の“カリスマらしさ”が完成するまでの話から、私たちが学ぶものは案外多いのかもしれないと思った。