がん「光療法」富山県内初実施 「第5の治療法」富大附属病院で レーザーでがん細胞破壊
●選択肢の増加と生活の質向上期待 富大附属病院は5日、レーザーの光を当てて、がん細胞を破壊する「光免疫療法」を富山県内の医療機関としては初めて実施したと発表した。患者の経過は良好といい、今後は患者の治療選択肢が増え、生活の質(QOL)向上が期待される。 光免疫療法は鼻や口腔(こうくう)、のど、甲状腺などの「頭頸部がん」の患者らに対し、薬剤投与後の患部にレーザー光を照射しがん細胞を破壊する治療法。正常組織の障害を可能な限り抑え、がん細胞を死滅させることができるとされ、「第5のがん治療法」として期待されている。 頭頸部がんの治療は他の多くのがんと同様に、外科手術や放射線治療、化学療法が行われるが、再発や遠隔転移の場合、根治的な治療法は限られていた。 光免疫療法は薬剤の一種「アキャルックス」を点滴投与し、レーザー光を当てるという二つのステップで行われる。体の表面にがんができている場合は体の外から、皮下組織にできている場合は針などの医療器具を挿入して体の中から患部に照射する。 富大附属病院では10月30日、放射線治療歴のある70代の男性に光免疫療法を施術。5日、同病院で森田由香教授、阿部秀晴助教とともに会見した林篤志病院長は「やっと一例目を実施することができた」と話した。 富大附属病院によると、10月末現在、光免疫療法が実施可能な施設は全国に約170カ所あり、治療認定医は約400人いる。