裏金議員の非公認は石破総理に“メリットだらけ”? 専門家が分析する「選挙」「支持率」「党内掌握」への影響
一方で、当然自民党内からは「処分は終わっているのにこんなことをしたら二重処分だ」などと不満が噴出。西田氏も「おそらく自民党が(次の選挙で)現在の議席数を維持できないということは衆目の一致するところ。内閣支持率と自民党の政党支持率がどちらも厳しい状況で、議席がどこまで減るのか。単独過半数を維持できるのか、公明党との連立でも過半数を割り込むのかといった“読み合い”が行われている中、重複立候補ができれば選挙区で落選しても復活当選できるが、それが難しければその議員は議席を失ってしまうわけだから、やはり厳しい(制裁)」と心情を察する。 こうした対応について、西田氏は「石破総理が裏金疑惑の議員に“厳しい制裁を科す”ことにはメリットがある」と指摘する。 「支持率が低い状態での船出となった石破政権にとって、世論に『石破政権、頑張ってるな』という印象を与えるには、ここで制裁を厳しくする必要がある。一方で、処分を厳しくすると当然党内の亀裂は広がってしまうが、裏金疑惑の議員たちはもともと“反石破”が多い。であれば、(選挙に落ちて)議会に帰ってこないほうが石破政権・総裁にとっては党内を掌握するうえで都合が良いとも言える」 目下、石破総理が党内を掌握できておらず、権力闘争が起きているとして、「もはや誰も見たことのない世界」だと西田氏は表現する。 「表立った“派閥”が無くなった結果、票の取りまとめや(党内で)意見を一致させることが難しくなっている。言い方を変えれば、それぞれの人たちがそれぞれの意思で動くようになっている。バラバラだ。もし石破総理が(裏金疑惑の議員に対して)厳しく当たるのであれば、『やばい、これはちゃんと総裁の言うことを聞かなければいけない』と思う人が増えるかもしれないし、『いやいや、もう石破さんではやってられない。早く選挙で負けた責任をとったことにして次の人に代わったほうがいい』と思う人もでるだろう。そのせめぎ合いだ」 自民党内でもすでに混乱が広がっているが、では野党はどのように動くべきか。西田氏は「野党にとっては、もうちょっと時間がほしかっただろう。特に裏金疑惑の議員の選挙区で、例えば立憲民主党と日本維新の会の間で、どちらかの党で候補者が決まっていない場合は新規の候補者を出さないようにするなど、できる範囲である程度の協力をするといわれる。時間があればもっと調整できたはずだ。それでも野党にとっても千載一遇のチャンスで、攻め時にしたいはず」と予測した。