「保険がきく」ってどういうこと? 治療費や薬代の自己負担は1~3割に
社会保障のきほん
身近な「社会保障」に関するテーマを、Q&A方式で分かりやすく解説します。 【図解】「少子化」と「高齢化」が同時に進む日本 このままの状況が続くと半世紀後はどうなる?
全国民が対象
Q 病院の窓口で、保険証の提示を求められます。なぜですか。 A 社会保障の一つである「公的医療保険」に加入していることを確認してもらうためです。これで、医療機関や薬局での支払いは、実際にかかった治療費や薬代の1~3割で済みます。自己負担が一部に抑えられることを、一般的に「保険がきく」と言います。お金がかかることを理由に、必要な受診をためらわないようにするのが目的です。負担割合は、年齢や所得で変わります。多くの人は3割ですが、例えば、75歳以上の人は原則1割で、所得が一定以上あると、2~3割です。
Q 公的医療保険に入らないことはできるのですか。 A できません。自営業やフリーランスの人らのための国民健康保険、民間企業に勤める人向けの健康保険組合など、勤め先の規模や本人の年齢によって加入する医療保険は異なりますが、国民の誰もが必ず入っています。若い人からお年寄りまで、健康な人から病気がちな人までが幅広く加入し、収入に応じた保険料を納めているからこそ、支え合いの仕組みと言えるのです。 2021年度の日本の主な医療費は計45兆359億円ですが、保険のおかげで、患者の負担は1割ほどに抑えられています。加入者と勤め先の事業主による保険料で5割、税金で4割が賄われています。 Q 民間企業による医療保険もありますよね。違いは何ですか。 A 加入が義務づけられている公的な医療保険に対し、民間保険への加入は自由です。持病や入院歴のある人は、病気になるリスクが高いと判断され、保険料が高くなる傾向があります。一方、公的な医療保険は、病歴によって保険料が変わることはありません。
介護や労災も
Q 公的な保険には、ほかに何がありますか。 A 例えば、40歳以上の全員が加入する介護保険の場合、利用した介護サービスの自己負担は、かかった費用の原則1割で済みます。仕事が原因のけがで休職せざるを得ない場合に、生活費を受け取れる労災保険もあります。 公的保険を支える保険料を巡っては、「負担が重い」という声もあります。ただ、こうした仕組みが張り巡らされている社会だからこそ、安心して暮らせることを忘れてはいけません。