【毎日書評】やりたい気持ち、意欲を引き出し目標達成をアシストする「コーチング」の基本
潜在的な悩みを引き出せる
たとえば、ある日を境に部下の口数が少なくなったり、うつむきがちになったりしたら、上司は「なにか悩みがあるのではないか」と考えるはず。そんなときに有効なのは、部下との1on1ミーティングを行い、上司の質問によって部下の悩みを引き出していくこと。 そうすれば、部下の悩みの原因を言語化・ビジュアル化し、対処可能な状態に持ち込むことができるわけです。 コーチングを行う前は、部下は「漠然とした不安」しかなかったかもしれませんが、コーチング後は「取引先に納期遅れを指摘しても、聞く耳を持ってくれないことに不安を感じている」「家族と大喧嘩して関係が修復できておらず、仕事にも身が入らない」など、具体的に特定できるようになります。(18ページより) そのため、悩みを解決するための次のステップへと移れるようになるのです。(18ページより)
目標や「ありたい姿」が見つかり、行動が加速化する
コーチングには、クライアントの目標発見をサポートし、目標達成に向けてのアクションを後押しする効果もあるといいます。 仕事上の目標をなかなか見出せず、職業人としてどうありたいのかが発見できない部下がいたとしましょう。そんなときにはその部下に対し、傾聴と質問を繰り返すのです。なぜならそうすることで、目標や「ありたい姿」が定まるから。そのため、コーチングを終えたあとの部下はすぐに、目標に向かってアクションを起こせるようになるわけです。 たとえば、上司から営業目標を指示されても、ピンと来ていなかった部下の25歳のAさん。上司が1on1ミーティングを実施し、Aさんに対し、「どのような瞬間に最も充実感を感じるか?」や「3年後どういう自分になっていたいか」といった質問を行います。 そうすると、Aさんからは「お客様との会話の中でニーズを引き出し、自社商品の販売につながったときに充実感を感じる」「3年後は後輩もできるので、自分で営業成績を上げることはもちろん、後輩のサポートもできるようになっていたい」と具体的なゴールが出てきます。(19ページより) つまりコーチングの目的は、ゴールに向かってのアクションをコーチが全力で応援すること。そうやって、Aさんのような部下が第一歩を踏み出す手助けをするのです。 忙しい日常生活のなかでは、自分の目標や「ありたい姿」を意識する機会はそれほど多くないかもしれません。だから迷ってしまうことになるわけですが、そんなときには上司がコーチングを行うことが大切。そうすれば、部下は必然的に「目標やありたい姿の発見」や「行動の加速化」を実現できるようになるからです。(19ページより) 基本から応用までを網羅した本書を参考にすれば、ビジネスの可能性が大きく広がっていくかもしれません。それが結果的に人生の転機になることも考えられるだけに、ぜひとも活用したいところです。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! Source: 白夜書房
印南敦史