「これは放送事故レベル…!?」Eテレの子ども向け番組で起こった「伝説のハプニング」
■撮り直しをしなかったのもスゴイ…ニャンちゅう卵ぶちまけ事件
“ニャンちゅう卵ぶちまけ事件”は、自慢料理を披露したおねえさんが盛大に生卵をこぼしてしまったハプニングである。 このニャンちゅうとはネズミの着ぐるみを着た猫キャラで、1992年の『母と子のテレビタイム・土曜版』に登場して以来、リクエスト放送などを紹介するキャラクターとして活躍してきた。現在も『ニャンちゅう!宇宙!放送チュー!』で活躍中である。 事件は2000年に放送された『あつまれ!わんパーク』で起きる。当時、笹峯愛さん演じる“あいお姉さん”は、ニャンちゅうに対し“今日は私の得意料理を披露する”と言ってごはんと生卵を持って来る。 その後、片手で卵を上手に割り、手際よく菜箸で溶いていくお姉さん。そしてご飯茶碗の上にその溶き卵をかけるのだが、なんと卵の半分くらいが茶碗からドロリとこぼれてしまうのだ。 それを見て「こ、これはひどいー!!」と、大声で叫ぶニャンちゅう。お姉さんは苦笑しつつこぼれた生卵を拭き取るものの、ふきんにも菜箸にも卵がベッタリついており、もはやスタジオはパニック。それを見てニャンちゅうは「先生、めちゃくちゃですよこれ…グロくなってしまった…」とつぶやく。 最後は多めにお醤油をかけ「たまごぶっかけご飯」が完成する。“ええーッ本当にこれで良いの!?”と叫ぶニャンちゅうに対し、“まあ完璧すぎても何ですから。これくらいのご愛敬があったほうが良いかな……”と、シレっとまとめるおねえさん。 生卵のほとんどを台にぶちまけるという失敗がありながら、撮り直しをせずそのまま放送をしたNHKも凄いと思ってしまう出来事であった。
■20年の歴史で初めて聞く声!『できるかな』ノッポさんの挨拶
『できるかな』は、1970年4月8日から1990年3月6日に渡り、20年間放送されてきた造形教育番組である。主人公のノッポさん(高見映さん)が身近な素材を使っていろいろな玩具を作り、人形のゴン太くんと一緒に遊ぶという内容だ。 ノッポさんやゴン太くんは番組内では一言も喋らず、解説や進行はすべてナレーション(初代:つかせのりこさん 2代目:大和田りつ子さん)だけでおこなわれていたのも特徴的だった。 しかし『できるかな』の最終回、ついにノッポさんが声を出す。1990年3月6日放送の最終回終盤シーンで「あーあ、しゃべっちゃった。今日は特別なんです。長い間ね、みんなと友達でいましたけど、『できるかな』は、4月から『ともだちいっぱい』という新しい番組と替わります」と、挨拶をしたのだ。 それまで20年間、一度も声を発することのなかったノッポさん。その声を聞いたとき、当時視聴していた子どもたちよりも、幼い頃からノッポさんに慣れ親しんできた親世代のほうが衝撃を受けたかもしれない。 のちに最終回に話した理由についてノッポさん本人は「最後はどうしてもしゃべりたかった。こんないい声の持ち主だって知ってもらいたいっていうのもあった」と、茶目っ気たっぷりに語っていた。 ノッポさんこと高見映さんは作家としても活躍しており、著書には「ノッポさんがしゃべった日」という自伝書籍もある。 NHKの教育番組は、図工や実験、料理、歌などをテーマに進行することが多い。進行するにつれ思いがけないハプニングも起き、きっと撮り直しをしたケースもあるだろう。しかし今回のようにハプニングをそのまま放送してくれるのは貴重なケースと言える。 子どもたちにいろいろな教養を与えてくれるEテレ番組の数々。今後も子どもたちとともに番組を楽しみながら、ときおり起きる小さなハプニングにも期待したいところである。
でかいペンギン