虎のソナタ 143試合目終わったとき「1番上」にいればいい 虎開幕ダッシュ失敗したけどジワジワ浮上中
(セ・リーグ、阪神7-0中日、4回戦、阪神2勝1敗1分、19日、甲子園)2点までしか奪えないチーム(阪神)と、2点までしか与えないチーム(中日)が対戦したらどうなるか。 矛と盾…とはちょっと違うが、興味深い対戦の結末は、まさかまさかの、打てない阪神の猛攻、圧勝だった。 首位を走る立浪竜。正直言えば、すごく心配していた。やられるんじゃないかなぁ、と。 サンスポを熟読してくださっている読者のみなさんなら、中日が首位を走っていても、そう驚かないはず。あれは、開幕直前に掲載した専属評論家6人による順位予想。1位は6人そろって阪神だったが、2位に中日を押した評論家が2人。3位に入ると予測した評論家が2人。6人中4人が、戦前から「ことしの中日は手ごわいぞ」とAクラスを予想、警戒警報を発令していたのだ。 1週間前に敵地バンテリンドームで相まみえた際も、1勝1敗1分け。簡単には勝たせてくれなかった。豪華投手陣を前面に押し出す戦いは、春の珍事ではないことを強く感じさせた。 ただ、今月9日に単独首位に立った日の原稿にはビックリした。なんと「2891日」ぶり-。2016年5月10日以来らしく、そんなに長く首位にご無沙汰していたなんて、全く気付かなかった。落合監督時代は、どうやっても勝てそうにない、したたかなチームが、時が流れて、8年近く、首位に立てなかったとは。 「久しぶりの首位」には、忘れられない記憶がよみがえる。1990年代。常識を超えた弱いタイガースに「1位」は無縁だった。それが、ある日、野村克也という名将がやってきて、チーム改革を行った。いわゆるノムさんフィーバーというやつだ。 就任1年目の6月10日、中日と並んで同率ではあったが首位に立つ。 夢か奇跡か幻か…。当時のトラ番キャップは、涙を流しながら1面原稿を書いていた(「涙」はウソだけれど、感激したのはホント)。1992年以来の首位だった。そして、「2209日」ぶりの首位だった。 これほど弱いチームはないと信じていた。だから「2209日」より首位に遠ざかるチームなんて、この世に現れないと、勝手に信じ込んでいた。だからこそ、中日の「2891日」は衝撃だったのだ。