「ガソリン補助金」12月以降も“継続”…ガソリン税を引き下げる「トリガー条項」凍結“解除”は「見送り」か?【税理士解説】
「補助金の継続」と「トリガー条項の解除」
燃料油元売りへの補助金の制度が2022年1月に施行されて以降、補助金の額が、トリガー条項発動による減税額(1リットルあたり25.1円)を大きく上回った月が相当数見受けられる。 ウクライナ情勢は収束する見通しが立っていない。中東の情勢も不安定である。それに加え、政府・日銀は超低金利を続けているので「円安」も長期化する可能性が指摘されている。これらの状況から、ガソリン価格の高騰は今後も長期にわたって続く可能性がある。 黒瀧税理士:「もし、今後も補助金の制度を継続すれば、国の財政にかかる負担が、トリガー条項を発動した場合より大きくなることも起こり得ます。 また、そもそも補助金の制度は一時的・暫定的な性格のものです。しかも、物価高ですべての企業が苦しんでいる中、『燃料油元売り』という特定の業種・業態に対してのみ値下げの原資を提供し、優遇し続けることは、法制度のあり方として好ましいものではありません。 したがって、ガソリン価格が今後も今の水準で推移するとなれば、補助金ではなく、むしろ『トリガー条項』を発動させ『本則税率』に戻すほうが、より無理がなく適切だという議論が出てくる可能性が考えられます」 国民生活が苦しくなり、与野党で物価対策や税負担の軽減に関する議論が活発化するなか、ガソリン価格をどう抑えるかの議論は待ったなしの状態となっている。 そのなかで、トリガー条項の解除、およびその前提となる「特例税率」と「本則税率」の関係についても、与野党間で突っ込んだ議論が行われることが想定されよう。
弁護士JP編集部
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