ヤクルト凱旋の青木宣親が早くも檄。「山田哲人はまだ本気になっていない」
7年ぶりにヤクルトに凱旋した青木宣親(36)が6日、沖縄那覇のホテルで入団会見を行った。正式契約は5日に結ばれ、背番号はヤクルト時代に最初に背負った「23」で契約条件は3年10億円。青木は「優勝に貢献することしか考えていない」と抱負を語った。小川淳司監督は「1、2、3番で使うことになるだろう」との起用プランを明らかにしたが、「ポジションはバレンティンも含めて競争になる」と青木にポジションは約束せずバレンティン、坂口智隆、雄平らとの“ヤクルト外野戦争”が最下位脱出の起爆剤になることに期待を寄せた。 背番号「23」のユニホームに袖を通し、カメラマンからガッツポーズを求められると「新人みたいだな」とはにかみ、「23は1よりしっくりとくる。好きな番号」と笑った。 メジャーで6年間プレー。ロイヤルズ時代の2014年にはワールドシリーズの舞台まで踏んだ青木は、FAとなった今オフ、当初、「メジャーを優先するつもりでいた」という。 「スローペースのFA市場の動きもきっかけになった。ヤクルトに迷惑のかからない時期を考えると今しかなかった。ポスティングでチームを去った自分に、毎年、毎年、声をかけ続けてくれていた。温かく迎えてくれた、この球団を愛している。日本でやり残したことは優勝すること。2011年も優勝を逃し、そこで日本の時間は止まっている。そこから前へ進みたい」 ここ数年、青木がFAになる度にヤクルトは水面下で凱旋オファーをかけていた。その古巣の熱意に応えるタイミングとしては、96敗の屈辱最下位を喫した今だったのかもしれない。 「(96敗の最下位は)ニュースで見ていた。あそこまで負けるとメンタルがやられるもの」 チームは、小川新監督の元、“鬼”宮本慎也を新ヘッドコーチに迎えて、夜の20時を過ぎても終わらない11時間に及ぶ猛練習に挑んでいる。 その情報を目にして「ビックリしています」という青木だが、チームが向かう方向性には賛同した。 「練習の質、量、いろんな方向でヤクルトが変わろうとしているのを感じる。それだけの長時間練習に耐えられる体力があるということ。やればできる。厳しい中に楽しさを一人ひとりが感じて欲しい。何かを達成した喜びを感じることができればもっと強くなる。いい方向にいくと信じている」 ブルワーズから始まりロイヤルズ、ジャイアンツ、マリナーズ、アストロズ、ブルージェイズ、メッツの7球団でプレーしたアメリカでの6年間は、ヤクルト時代に200本安打を2度、首位打者を3度獲得した青木をさらなる上のステージへと引き上げてくれた。 「(メジャーの6年が)自分を変えてくれた。最初の2、3年は自信を持てないでプレーしていた。言葉も野球と違うベースボールも生活も、すべてが試練だった」 それらの経験があるからこそヤクルトでも若手への影響力のあるリーダーとしての期待が寄せられている。 「いろんなアドバイスができればいい」と言う青木が気にかけているのは、昨年、スランプを経験した山田哲人だ。背番号も「23」から「1」と青木と同じ系譜を辿っている。 「WBCでも一緒になったが、山田は、まだ自分の才能に気づいていない。まだ本気になっていない。もっとやれるプレーヤーだ」。熱いメッセージを送った。 ここまでズバっとモノを言える人物が加わっただけで、チームに刺激という名の青木効果が生まれることは間違いない。