【巨人】なぜ1ストライクから? “異例”継投に動いた桑田2軍監督の思考と根拠
◆イースタン・リーグ 巨人4―4西武=延長11回引き分け=(4月30日・ジャイアンツ球場) 巨人の2軍が珍しい継投策でピンチをしのいだ。4―4の同点で迎えた8回、3番手の畠が2死一、三塁のピンチを招き、西武は川野の代打にベテラン・栗山を起用。初球ストライクを奪うと、一塁ベンチから桑田2軍監督が出て投手交代を告げた。4番手の左腕・大江がマウンドへ向かうと、2ストライクから栗山を三ゴロに封じて得点を許さなかった。 なぜ1ストライクから投手交代に踏み切ったのか―。試合後、桑田2軍監督は場面ごとの狙いや、指揮の意図を記したスコアカードを確認しながら、交代に至った経緯を説明した。 8回から登板した畠は、先頭の渡部と1死一塁からの滝沢に2ストライクと追い込んでから安打を浴びていた。2死一、三塁で栗山が代打起用され、初球は外角甘めの直球を見逃してストライク。指揮官は、冷静に状況を判断していた。 「畠は(渡部にカウント)1―2、(滝沢に)0―2から打たれ、甘い球が多くなっていた。栗山は実績のある打者だから、1球の失投は見逃してくれても、2、3球目の失投は捉えられるだろう。その前のアウトの取り方がよければ、畠を続投させて任せていたけど、プロセスが良くなかった」 ブルペンでは、次打者・西川での登板を見越して大江が準備を進めていたが、勝負所は今だと判断して1ストライクから投手交代に踏み切った。 「大江の調子の良さ、左の変則投手に賭けてみようと思ってリリーフを送った。大江は(1軍登板に備えてイニング)途中からいく練習もしなければいけないので」 今季2軍では12試合で防御率1・54、直近9試合連続無失点の左腕に勝負を託し、ピンチをしのぎきった。 1点が勝敗を決する試合終盤、状況が刻々と変化していく中で、投手や打者の状態を細かく分析した采配で失点を防いだ。畠が1ストライクを奪ってから、投手交代を決断するまでの時間は十数秒程度の短い時間だったはずだ。時に“勝負師”とも形容されるプロ野球監督という職業のすごみを肌で感じた。(巨人ファーム担当・小島 和之)
報知新聞社