静岡・清水港に押し寄せるクルーズブーム、富士山の世界文化遺産が背景に
首都圏と関西圏の中間に位置する静岡県の清水港は、コンテナ取り扱い量が全国8位の物流中心の港。ところが最近、清水港に入港する客船が増えている。清水港に今、何が起きているのか? 師走に入った今月10日の早朝、清水港・日の出埠頭に日本客船としては最大級の飛鳥II(約5万トン、乗客定員約870人)が入港した。埠頭はカメラを手にした大勢の人であふれ、地元中学生が演奏するブラスバンドの軽快な音楽がクルーズ客を歓迎、港は朝の冷気を吹き飛ばす熱気に包まれた。
外国客船入港は増加予想
飛鳥IIを含め2016年4月以降に清水港に入港した客船は回数で14回にのぼっている。毎月1回は客船が入港している状況だ。さらに来年3月までに3回の客船入港が予定されており、2016年度の客船入港は17回、船舶数で11隻にのぼる。うち8隻は外国客船で4隻は初入港だ。2017年度も初入港2隻を含む外国客船8隻と日本客船1隻の9隻、回数で17回の入港が予定されており、さらに増えることも予想される。 従来、清水港への客船入港はほとんど日本客船で、それも年に10回以下という状況だった。県と市、地元商工会議所など官民による誘致委員会が2002年に組織され誘致活動に取り組んでいるが、2013年までは外国客船が入港することは稀だったのだ。
富士山の世界文化遺産が要因に
ところが、2014年から外国客船の入港が顕著になり、昨年は約2000人の中国人観光客を乗せた「サファイア・プリンセス」(約11万5000トン)も入港、中国人爆買いのニュースと合わせてテレビなどで報道され話題になった。外国客船の入港が増えていることについて、静岡市清水港振興課は「富士山が世界文化遺産に登録されたことが追い風になっている」と話す。2013年に富士山が世界文化遺産となり、その構成資産として、三保半島の三保松原も登録された。三保半島は清水港の一角でもある。 富士山の世界遺産登録の翌年から、外国客船の入港が増えていることから、客船ツアーに富士山や三保松原が組み込まれ、それに伴い外国客船が清水港に寄港するようになったのだ。しかし、客船増加の要因は単にそれだけではなさそうだ。