21世紀枠の只見、後世に残る1点 会津の学校で春夏通じて初得点
22日の第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に21世紀枠で初出場した只見。試合は大垣日大(岐阜)に1―6で敗れたが、福島県高野連によると、この1点は会津地方の学校として春夏通じて初の得点だったという。後世に残る活躍をした選手らは23日、滞在先の大阪から帰路に就いた。24日にも地元に戻る。【三浦研吾、松本ゆう雅、山口敬人】 ◇監督「選手ら貴重な経験」 記念すべき只見の初安打が適時打となった5番捕手の山内友斗(3年)は試合後、「1点を取らないといけないと思って打席に入り、直球に狙いを絞った。打った後、監督と目が合い一緒にガッツポーズした」と振り返った。山内友は直前の守備で相手の盗塁を阻止した。対戦が決まった時から機動力を警戒していた山内友は「盗塁が狙われるカウントを頭に入れていた。好プレーが出せて良かった」と笑顔を見せた。 先発した酒井悠来(3年)は「要所でストライクが取れ、直球とカーブ、スライダーが良かった」と自己評価した。昨冬は足の靱帯(じんたい)をけがし、一時は退部も考えたが、弟で中堅手の怜斗(2年)が「一緒に甲子園を目指そう」と声をかけて踏みとどまらせていた。そうしてつかんだ甲子園。初回の先頭打者を中飛に打ち取ると、2人に笑みがこぼれた。弟と共にグラウンドに立った悠来は「ベストな投球ができて良かった。甲子園は投げていて気持ちいい球場だった」と振り返った。 1点の重みは、長谷川清之監督が以前から課題に挙げていたことだった。昨秋の県大会準々決勝で0―6で敗れた試合。指揮官は「走者を出しながら1点も取れなかった」と口にしていた。それだけに、この1点に子どもたちの成長を感じたという。長谷川監督は「子どもたちは一生に一度あるかないかの経験をした。今後もチーム力を高めていきたい」と力強く話した。 町民と共にある只見ナイン。長谷川監督は「過疎地の高校野球の重要性をひしひしと感じた。熱い応援ありがとうございました」と話していた。 ◇夢舞台にチームけん引 只見 吉津塁主将(3年) 「野球を始めた時からの憧れの舞台」。その甲子園で躍動した。昨秋の福島県大会3回戦では九回裏に同点ランニングホームランを放つなど、この主将の存在なしに甲子園にはたどり着けなかった。 普段から町民の応援の熱量を感じ、「全力疾走で町の人たちに恩返しをしたい」と常に意識してきた。 この日は6番遊撃で出場。無安打だったが死球で出塁し、持ち味の守備では三遊間の深い打球をさばくなど好プレーを見せた。スタンドでは両親ら家族4人が見守った。吹奏楽の応援を受けるのも初めて。「とても力になった」と声を弾ませた。 試合は1―6で敗戦。「全力疾走と笑顔のプレーはできた。審判や観客が拍手で応えてくれるのがうれしかった」と手応えを感じた一方、「全国レベルに対応し切れていない。弱いところを強化したい」と課題も口に。 「目標にしていた場所でみんなとプレーでき、かけがえのない時間だった」と、爽やかに甲子園を後にした。【三浦研吾】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。