帝京長岡がPK戦の末に青森山田を下す!! 「負けパターン」を勝利へとつなげ、新潟県勢初の総体ベスト4進出!!
[7.31 総体準々決勝 帝京長岡高 1-1(PK3-2) 青森山田高 JヴィレッジP1] 【写真】影山優佳さんが“人気女優”と代表戦を現地観戦「可愛すぎる」「勝利の女神が2人」 令和6年度全国高校総体(インターハイ)「ありがとうを強さに変えて 北部九州総体 2024」男子サッカー競技は31日に準々決勝を行ない、帝京長岡高(新潟)と青森山田高(青森)が対戦。両者譲らず、PK戦までもつれた一戦は1-1(PK3-2)で帝京長岡が勝利した。8月2日の準決勝では昌平高(埼玉)と対戦する。 ここまでの帝京長岡は県リーグに所属するチームとの対戦が続いてきたが、準々決勝で対峙した青森山田は高体連屈指の強豪校。「この準々決勝から相手がどんどん強くなっていくのは分かっていたこと。強度が一つ二つ上がったと感じていた」と振り返るのはDF山本圭晋(3年)で、試合序盤は相手の圧力に飲み込まれる場面が続いた。 試合前に振った大雨の影響でピッチが緩くなり、思い通りにボールを動かせない場面が続くと前半11分には青森山田にこの日初めての決定機が訪れた。GK松田駿(2年)が左前方にロングキックを送ると、MF大沢悠真(3年)、FW浅野瑠唯(3年)と繋いでシュート。右サイドにこぼれたボールを帝京長岡の守備陣が跳ね返そうとするも、左サイド高い位置でのボールを奪い返し、MF川口遼己(3年)がゴール前にクロスを送る。反応したのはFW石川大也(3年)。GKより先に触ったボールがゴールに向かうと最後はMF別府育真(3年)が押し込み、青森山田が幸先の良いスタートを切った。 追い掛ける展開を強いられた帝京長岡だが、チームに焦りの色は見られない。パワフルな攻撃を仕掛けてきた青森山田に対し、山本とDF下田蒼太朗(3年)のCBコンビがきっちり競り勝ち、セカンドボールもMF香西大河(3年)やMF遠藤琉晟(3年)が拾う。接触を恐れずマイボールにしてからはテンポよくボールを動かし、試合の流れを自らの物にしていく。35分には下田がハーフウェーライン付近からクサビを展開。受けたMF水川昌志(3年)がゴール前にパスを送るとFW安野匠(3年)、MF永井仁之(3年)と繋いで同点弾を叩き込んだ。 追い付いた勢いのまま後半に入ると、帝京長岡の攻撃の勢いは更に増していく。「前半はボランチの脇が空いているとプレーしながら感じていた。そこに通すまでにどう手間をかけていくか、チームとしてのズレがあったのですが、後半はサイドに付けながら内側を上手く使っていく攻撃ができた」。そう口にする水川と永井の両サイドハーフが中央に絞ってプレー。大外をサイドバックが攻め上がり、チャンスの数を増やしていく。 「後半になってから相手のポジションが流動的に動いてきたところを自分たちボランチ2枚でしか守れていなかった。間にも(ボールが)出てきたし、FWに縦パスを付けられた後、自分たちがプレスバックしても脇から、2枚、3枚出てきた。相手の運動量の方が多かった」。そう振り返るのはMF谷川勇獅(3年)で、青森山田は次々に湧き出てくる帝京長岡の選手を捕まえきれなかったのは痛手だった。 後半13分には左サイドから上げたFKが青森山田のDFに弾かれたが、反対サイドで拾ったDF桑原脩斗(2年)が中に低いクロスを上げる。このこぼれ球を拾った香西のシュートはGK松田がストップ。19分にはCKのクリアボールを右サイドで受けたDF水澤那月(2年)のクロスから永井がゴールを狙ったが、シュートは左に逸れた。 以降も帝京長岡がチャンスを作り、35+2分には右サイドを仕掛けたMF和食陽向(1年)から決定機が到来。ゴール前の安野がダイレクトで合わせたシュートは枠を捉えずことができず、勝負の行方はPK戦に委ねられることになった。 チャンスを作りながらも1点が遠く涙を飲む試合を帝京長岡はこれまでたくさんしてきた。「いつもの負けパターン」(古沢徹監督)ではあったが、この日は違う。1人目のキックは枠外に飛んだが、2人目、4人目がきっちり成功し、青森山田に食らい付く。迎えた青森山田5人目のキックはGK小林脩晃(3年)が読みを的中。続く帝京長岡の選手がゴールネットを揺らし、1-1(PK3-2)で勝利した。 この白星によって帝京長岡は新潟県勢初となるベスト4進出を果たした。「PK戦であまり勝てたイメージがないので、一つ勝てたのは大きい。分が悪くないという自信に繋がると思います」と話すのは山本で、青森山田とフィジカル勝負で渡り合えた経験もプラスに働くだろう。最高記録を更に上書きしていくために、準決勝でも帝京長岡らしく足元に拘りながらも、タフに戦っていく。 (取材・文 森田将義)