人口増に転じた“北の平城京” 北海道東川町を訪ねた
今年の1月、都内で行われたある移住・交流・地域おこしのイベントに行ってきた。およそ300もの地方自治体のブースが並び、わが町の魅力を伝えようと一生懸命PRに力を入れている。 日本全体でも人口減少に転じている中、都市部への人口流出による減少の課題を抱えている自治体が多い。観光で訪れるならまだしも移住となるとそう簡単に決断できることではないだろう。 しかし、その中でも人口減少を食い止め、増加へと転じさせている自治体がある。そんな町の一つ、北海道のほぼ中央に位置する東川町。その理由はなぜ、魅力はいったいどこにあるのだろうか。
羽田から飛行機で旭川空港まで1時間40分、そこから車で10分、意外と東京からのアクセスがよい。 1月のイベントでお会いした東川町定住促進課の高木さんに勧められ、東川町が一望できるキトウシ山にある展望閣に登ってみた。朱雀大路を中心とした平城京の碁盤の目のように整備されたつくりに似ていることから「北の平城京」とも呼ばれているそうだ。7月下旬、米どころでもある東川町は緑に包まれていた。 東川町を訪れる前、ある機会に松岡市郎・東川町長の話を聞く機会があった。町長はこの町を語るとき、「三つの“道”がない」と半ば自慢げに紹介する。 「三つの“道”」とは「国道」「鉄道」「上水道」である。そのあとに「他にはない『北海道』という『道』がある」と続ける。一見軽い冗談のような話しぶりなので、こちらも笑いながら聞いていたが、この町を初めて訪ねてみて、なぜ人口増加まで実現させる活性化につながったのか知ることになった。(つづく) (2017年7、8月撮影・文:倉谷清文) ※この記事はTHE PAGEの写真家・倉谷清文さんの「フォト・ジャーナル<町民の心捉えた写真の町 北海道東川町>倉谷清文第7回」の一部を抜粋しました。