【日本シリーズ2024】攝津正が解説するDeNAバッテリーが悔やむ1球 二死満塁で有原航平への3球目はなぜ甘く入ったのか
日本シリーズ第1戦は、有原航平の投打にわたる活躍でソフトバンクが5対3で勝利を収めた。 【写真】ソフトバンク「ハニーズ」新メンバーをみずほPayPayドーム福岡で撮り下ろし! 2回表、二死満塁から有原がライトへタイムリーを放ち、ソフトバンクが2点を先制。その後、両チームとも得点を奪えずにいたが、9回表、ソフトバンクは今宮健太、栗原陵矢のタイムリーで3点を奪いリードを広げた。 それでも5点ビハインドのDeNAは最終回、ソフトバンクの守護神、ロベルト・オスナを攻めて梶原昂希、森敬斗のタイムリーなどで3点を奪い、なおも一発出れば逆転サヨナラの場面を演出したが、牧秀吾がセンターフライに打ちとられゲームセット。この試合、勝負の分かれ目はどこにあったのか。解説者で日本シリーズ経験者でもある攝津正氏に解説してもらった。 【有原航平への不用意な1球】 ── 日本シリーズ第1戦、攝津さんはどこに注目していましたか。 攝津 お互い打撃がいいチームですので、どういった形で得点できるか。逆に、バッテリーはどういう攻めをして抑えていくのか。そこに注目していました。 ── 先制したのはソフトバンクでした。2回に二死二、三塁から甲斐拓也選手を申告敬遠で満塁策をとり、ピッチャー・有原航平投手との勝負に出ました。しかし結果は、タイムリーヒットでソフトバンクが2点を先制。DeNAバッテリーの攻め方はどうでしたか。 攝津 この場面で一番避けなければならないのは、フォアボールの押し出しです。DeNAバッテリーとしては、とにかく早く追い込んで、最後は変化球を振らせたかったと思うんです。ストレートを3球続けたわけですが、おそらくふだん打席に入らないパ・リーグの投手ですから、押し込んでファウルをとりたかったのかなと。ただ打たれた3球目に関しては、甘く入ってしまいました。DeNAバッテリーにとっては、悔いの残る1球になりました。
── ジャクソン投手のデキはどうでしたか。 攝津 適度に荒れていた分、ソフトバンク打線は的を絞りきれず、ボール球にも手を出していました。たしかに、ジャクソン投手はストレートが速く、チェンジアップ、カーブを使ってうまく緩急をつけていました。ただ、ソフトバンクの攻撃で気になったのは初回の攻撃です。柳田悠岐選手が四球で出て、つづく周東佑京選手が2球目を打つも外野フライに倒れました。ここは、ベンチからすれば内野ゴロでランナーを進めてほしい場面。最低でも、柳田選手と周東選手が入れ替わる形にしたかった。結局、つづく今宮健太選手の打席で、柳田選手が盗塁を試みるも失敗。チャンスは潰えました。 ── 立ち上がり不安定だったジャクソン投手を助けてしまったと? 攝津 もっとうまく攻めていたら、違う展開になっていたのかなと。2回にああいう形で先制できましたが、ソフトバンクとしては上位でチャンスをつくり、中軸に回すシチュエーションをつくりたかった。ジャクソン投手の立ち上がりがよくなかっただけに、もったいない攻撃でした。 ── 一方、ソフトバンク先発の有原投手は、7回を投げて4安打無失点と好投しました。 攝津 どの球種もしっかり投げることができていましたし、投げミスが少なかったですよね。なかでも感心したのは、DeNA打線に低めのボール球を見極められる場面があったのですが、それでも徹底して低めに集めていたことです。ピッチャーとしては、低めの球を見られると、どうしてもゾーンを上げてストライクを取りにいこうとしてしまう。でも有原投手はゾーンを上げることなく、低めにボールを集めた。調子自体もよかったと思うのですが、冷静なピッチングでしたね。 ── DeNA打線は、最後まで有原投手を攻略できなかった? 攝津 打ってもファウルにしかならないコースを突いてカウントを稼ぎ、ストライクからボールになる変化球で仕留める。とくにチェンジアップとフォークはよかったですね。DeNAからすれば、投球パターンはわかっていたと思うのですが、コントロールミスがないから捉えられない。緩急の使い方もうまく、DeNA打線は微妙にタイミングをずらされていました。