未勝利の巨人・内海 なぜ勝てないのか
巨人の内海がひとつも勝てない。開幕投手争いで菅野にその座を譲ることとなり、その屈辱を“真のエース”として、結果をもって晴らそうと、気負い過ぎたのか。4月1日の横浜DeNA戦で、今季初先発。初回に1点の先取点をもらったが、7回にブランコ、筒香、バルディリスの3連打で同点とされ、最終的にチームは試合に勝ったが、内海には、勝ちはつかず。ここまで9試合に先発して、防御率3.70、0勝5敗の成績だ。 昨季、チーム最多タイの13勝を挙げた100勝利左腕は、なぜ勝てないのか。内海本人は「要所、要所の勝負どころを抑えられていない」と分析している。確かに9試合のうちチームが先制したゲームは、5試合あるが、いずれもそのリードを守れず同点を許した。ただ、そのリードは、援護と呼べるほどの代物ではない。9試合の平均得点は1点。4月27日の広島戦では7回をゼロに抑えたが、味方も、それに付き合うように無得点だった。村田打撃コーチも「1点、2点しか援護できないようじゃ苦しい。しっかり点をとって早く勝ちをあげたい」と切実に言う。内海のマッチアップの相手は、広島のマエケンや阪神の能見、横浜DeNAは久保、中日はカブレラなどエース格となるので巡りあわせも悪い。 評論家で元中日の与田剛さんは、勝てない原因をこう見ている。「なかなか調子の上がらない味方打線との噛み合わせ、相手投手との巡り合わせなども悪いですよね。打線の援護がなく我慢の投球が続くと『多少、甘いボールでもいいんだ』という具合にピッチングに余裕がなくなる。そこが窮屈になると、キレや球威に影響が出ます。加えて“打倒・内海”の研究の跡が、相手チームに見えます。ホームベースを左右に巧く使う配球があってこそ、高低の揺さぶりが生きるんですが、配球のパターンが読まれてしまっています。あの落差のあるカーブは見極められればボールですから。それと、少し打者からボールがみやすく感じます。これはフォームの問題点。投げ急ぎ、バランスが崩れるケースが少なくありません」. 配球については、阿部も「いろいろ工夫はしているがリードしていて苦しい」と言う。元侍ジャパンのチーフスコアラーも務めた三宅博さんは、「彼の武器であるシンカーがよくない。それが右打者に抜けた逆球になって打たれるケースも目立つ。腕の振りがストレートと、シンカーでも同じなのが、彼の強みだったが、その違いが少しわかるようになっている。勝てないと、すべてが裏目、裏目に出るもの。技術というよりも精神的な影響が大きい。私が阪神時代に少し重なっている権藤さんも、大洋時代に勝てずに、今も残っている連敗記録を作ったが、負けると、どんどんプレッシャーが大きくなっていくからね」と、技術的問題点と、精神的問題点の2つを指摘した。