【米国株ウォッチ】年初来50%高のeBay、この好調は来年も続くか?
世界的なEC企業の米eBay(イーベイ、ティッカーシンボル:EBAY)の株価は、流通取引総額(GMV)の回復に牽引され、今年は50%という堅調な上昇を見せている。同社のGMVは2021年に874億ドル(約13兆1200億円)を記録したが、その後、厳しいマクロ経済環境のため、2023年には732億ドル(約10兆9800億円)まで減少している。インフレ率の上昇や、それによる消費者心理の低迷などが足枷となっている。しかし、今年はわずかに回復基調にあり、2024年第3四半期までの累計GMVは1%上昇し、テイクレート(流通総額のうち運営企業の取り分)も13.9%とわずかに改善した。 もう少し長い期間で見ると、eBayの株価は2023年初頭につけた40ドル台から、現在の63ドルという水準まで約60%上昇している。その理由は以下の通りである。 ・株価売上高倍率が2022年の2.2倍から現在の3.2倍まで43%上昇 ・収益がこの期間に98億ドル(約1兆4700億円)から103億ドル(約1兆5500億円)に約5%増加 ・自社株買いに70億ドル(約1兆500億円)を投じ、株式総数が7%減少 ■直近の業績動向 eBayの最近の収益成長は、自動車部品やアクセサリー、コレクターグッズ、ハンドバッグ、リファービッシュ製品、高級ファッションなどの重点カテゴリーの成長によって牽引されている。eBayが先月発表した第3四半期決算では、収益と利益がそれぞれ市場予想をわずかに上回った。しかし、第4四半期の業績見通しは市場予想を下回ったことから、株価の重荷となっている。 同社は、AIによるパーソナライズされたレコメンデーションを提供することに注力しており、収益力の強化を目指している。自動車部品やアクセサリーなど特定のカテゴリーへ特化するという戦略は上手くいっているようだ。 また、同社は今年初めに配達サービスを提供するスタートアップであるShutlを買収し、即日配達サービスを提供している。それでも、eBayはアマゾン、ウォルマート、Etsy、Temuなどとの厳しい競争に直面することには変わりがない。