【リーグワン】ワイルドナイツが激闘を制す。スピアーズは2戦連続の逆転劇とはならず。
■NTTリーグワンD1第2節・12月28日@熊谷ラグビー場(埼玉) 【埼玉WK 26-24 S東京ベイ】 開幕戦を白星で飾った埼玉パナソニックワイルドナイツが、今季最初のホストゲームにクボタスピアーズ船橋・東京ベイを迎えた。前節、劇的なサヨナラ勝利を挙げた難敵を最後の最後に振り切って開幕2連勝。スピアーズはわずかに届かず、悔しい黒星となった。 前半、ペースを掌握したのはワイルドナイツ。接点で強度、精度ともに上回り、スピアーズを追い込んでいく。再三に渡ってペナルティを誘い、18分までにSO山沢京平のPGで6-3とスコアを先行する。 スピアーズはその後も自陣深くでのディフェンスを余儀なくされ、28分には反則の繰り返しによってPR海士広大がシンビンに。その2分後、敵陣深くでラインアウトのチャンスを得たワイルドナイツは、山沢京平の仕掛けから最後はCTBディラン・ライリーがインゴールへと侵入。13-3とリードを広げた。 さらに、この日のワイルドナイツはキックが冴えていた。山沢京平の右足がゲーム全体をコントロール。兄のFB山沢拓也やWTB竹山晃暉も裏のスペースを突いた好キックを披露し、一昨年度の王者を自陣へと釘付けにする。 前半終了間際には、その流れを生かしてスコアを動かす。またもラインアウトを起点に、ゴール前でラックを形成したワイルドナイツはSH小山大輝がパスアウト。このボールがオフサイドの位置にいたFLタイラー・ポールに当たって落球。これがトライを妨害としたと見なされ、認定トライが与えられる(※ポールにはシンビンの裁定)。ホストチームが20-3とリードを大きく保って前半を終えた。 後半も開始早々に2度のターンオーバーに成功するなど、ワイルドナイツが主導権を握る。しかし3分。この日がデビュー戦となったLOオッキー・バーナードが危険なプレーでシンビンを受けると、徐々に風向きが変わり始める。 ハーフタイムに接点の精度や規律の修正を図ったスピアーズが5分、勝負を仕掛ける。敵陣深い位置での相手ボールスクラムの場面で、フロントローを総入れ替え。HOマルコム・マークやPRオペティ・ヘルがピッチに立つ。同時にSH藤原忍、ルーキーのUTB山田響も投入。これを機に形勢が逆転する。 スピアーズがボールを敵陣で長くボールを保持。アタックの時間が増え始めた8分、タップから一気になだれ込み、LOデーヴィッド・ブルブリングがトライを奪って反撃の狼煙をあげた。 その後PGを1本返されたものの、スピアーズの勢いは止まらず。23分にキャプテンのNO8ファウルア・マキシ、31分にはWTBハラトア・ヴァイレアがゴールラインを陥れ、24-23と逆転に成功した。 前節のトヨタヴェルブリッツ戦同様、驚異的な追い上げを見せるスピアーズだったが、勝負は簡単に決まらない。34分、その10分前に交代で入ったばかりのNO8アシペリ・モアラが危険なプレーでシンビンとなってしまう。 これで得た中央約30メートルのPGを山沢京平が冷静に沈めて、ワイルドナイツが26-24と再びスコアをひっくり返した。 残り時間は5分。再びエンジンを掛け直し、アタックを繰り返すスピアーズだが、青い壁は分厚く、敵陣10㍍ラインをなかなか越えられない。38分には前節でサヨナラDGを決めた、SOバーナード・フォーリーが敵陣右中間の約40㍍の位置からPGを狙うも、わずかに届かず。逆転に次ぐ逆転の大激闘はホームのワイルドナイツの手が挙がった。 接戦をものにしたロビー・ディーンズHCは、「タフなゲームを勝ち切れて光栄」と安堵の表情。HO坂手淳史は「こういう(厳しい)ゲームが増えてくる。それをどれだけ勝ち切れるか。教訓になるいい試合だった」と振り返った。これには指揮官も同意見で「(今季は)下位チームはないと思っている」と、今後に向けて手綱を締めた。 惜しくも敗れたものの、十分な地力を示したフラン・ルディケHCは、「最後の2分はどちらに転がってもおかしくなかった。ポジティブな要素も多かった。シーズンは長いので、これからも(今日の)後半のように戦っていきたい」と先を見すえた。 (文:三谷 悠)